【セミナーレポート】香港科技大学(HKUST)卒業生が語る留学・キャリアチェンジ体験談

HKUST_キャリアセミナー

 

キャリアチェンジを目指してMBAに進学される方は多いのですが、職種を変えるのは容易ではありません。中でも、戦略コンサルティング(戦略コンサル)・投資銀行(IB)・プライベートエクイティ(PE)は、アジアMBAのみならず、欧米トップスクールの卒業生も含めて高い人気を誇り、狭き門と言われています。

 

今回、アジアの金融ハブ、中国へのゲートウェイである香港に位置し、世界トップ22(Financial Times Global MBA ranking 2021)にランクインする、アジア屈指のビジネススクール香港科技大学(HKUST)MBA卒業後、戦略コンサル、投資銀行、PEに就職した卒業生3名をお迎えし、去る7月24日に「香港科技大学(HKUST)卒業生が語る留学・キャリアチェンジ体験談」と題しオンラインセミナーが開催されました。本記事では、当日50名以上の方が参加されたこのセミナーの模様をレポートとしてお届けします。

 

登壇者

【パネリスト】

都築 啓_hkust

都築 啓 / HKUST, Class of 2015

コンサル→プライベートエクイティ(PE)

大学卒業後、総合コンサルティングファームにて製薬業界・エンターテイメント業界などの経営コンサルティングに従事。2013年よりHKUSTへ私費留学。卒業後、2015年1月に日系・独立のプライベートエクイティファンドに入社し、複数の投資案件の実行および投資後の企業価値向上活動を常駐して推進。

 

濵田 全次郎_hkust濵田 全次郎 / HKUST, Class of 2018

保険→投資銀行(IB)

大学卒業後、東京海上日動火災保険株式会社に勤務。大手総合商社、物流企業の保険プログラム組成に従事。2016年に同社を退社後、HKUST MBAへ私費留学。卒業後、日本へ帰国し、ゴールドマン・サックス証券株式会社投資銀行部門に勤務。M&A、被買収・アクティビズム対応のアドバイザリー業務に加え、企業の資金調達支援(株式、債券)、ベンチャーへのプリンシパル投資に従事。

 

佐藤 拓也_hkust

佐藤 拓也 / HKUST, Class of 2021

証券→戦略コンサルティング

慶應義塾大学卒業後、6年間野村證券の営業店にて新規開拓営業に従事。2018年よりHKUST MBAへ私費留学。留学中の現地コンサルティングファームでのインターン等を経て、卒業後は外資系戦略コンサルティングファームの東京オフィスに入社予定。

 

 

【モデレーター】

池田 豊_hkust

池田 豊 / HKUST, Class of 2020

大学卒業後、証券会社でIPOアドバイザリー、日系電機メーカー香港地域統括会社の経営企画に従事。その後、2018年よりHKUST MBAのに私費留学。卒業後、日本に帰国し、日系ベンチャーの経営企画に転職。2021年4月より、香港の日系大手海外新設法人で、経営管理責任者として従事。

 

 

 

Why HKUST? – ダイバーシティ・アジア金融のエネルギッシュな中心地

 

池田:本日のテーマ「キャリアチェンジ」に入る前に、まずの皆さんに経歴、そしてなぜHKUST MBAに進学したのかお聞かせいただけますか?

 

濵田:前職は東京海上日動にて7年間、法人向け保険プログラムのアレンジメントを行っていました。MBA卒業後はゴールドマン・サックスの投資銀行部門に入り、現在4年目になります。主な業務は、M&Aアドバイザリー、資金調達支援、ベンチャー投資(プリンシパル投資)を行っています。

当初は前職の社費留学生としてMBA受験を行っておりましたが、最終的には社費留学を断り、退社して自費留学をしました。留学先は社費留学の条件として、ランキングトップ20のビジネススクールというものがあったので、その中でダイバーシティが高い学校を選びたいと思いアメリカの学校は選択肢から外し、さらに少人数、アジアMBAの希少性というところに魅力を感じ、HKUSTに決めました。

 

都築:前職はデロイトトーマツコンサルティングにてコンサルタントとして5年半働き、HKUSTに入学。その後、国内の独立系のPEファンドに入社し、6年半働いています。業務は多岐にわたるのですが、主に投資前のフェーズでは投資先の候補となる企業のリサーチ、発掘、投資後のフェーズでは企業の成長をさらに加速するサポートを行っています。

学校選びでは、私も同じくダイバーシティを重視していました。前職のコンサルティング業界ではMBAホルダーが多く、同じ欧米系のMBAスクールに行っても差別化ができないと思い、アジアMBA、中でもランキングが高いHKUSTを志望しました。HKUSTではウォルマートの元CEOなど実務家の教授が多い点も、決め手になりました。

 

佐藤:前職は野村證券の営業店で6年間新規開拓に従事していました。その後2019年に私費留学でHKUSTへ進学し、今年卒業予定です。9月からは戦略コンサルティングファームで働く予定です。

おそらくアジアMBAを進学先として考えた時に、香港とシンガポールを比較検討される方も多いかと思います。私からは私自身が感じた香港・シンガポールの違いをお話します。香港とシンガポールは共にアジアのファイナンシャルセンターとして知られますが、その機能、それに伴う街や人の雰囲気は大きく異なる気がしています。シンガポールは、世界中から投資家を呼び込む快適な住環境を誇り、多くの金融機関がウェルスマネジメントの一大拠点を構えています。一方で香港はアジアでも有数の株式市場を有し、これから上場を目指す企業に関わるビジネスも多く、独特の野心や活気を感じます。在校生等の話を聞いてみて雰囲気の違いを感じながら、自分に合う地域を選ぶと良いかもしれません。

 

HKUST_寮からの景色

海を一望できるHKUSTキャンパス

 

 

HKUSTの魅力 – 寮での共同生活、バランスが取れたクラスプロファイル

 

池田:ダイバーシティはまさにHKUSTの特徴の一つですね。その他HKUSTのユニークな点を具体的に教えて頂けますか?

 

都築:HKUSTはMBAプログラムの中では、比較的新しいプログラムです。そのせいか、非常にスピード感がある学校です。具体的なエピソードとしては、入学した年にキャンパスが移転したばかりでまだファシリティが十分ではなかったのですが、ブレイクアウトルームやカフェなどの設備が足りないと学生が改善を学校側に指摘すると、翌週にはすぐに設置されました。このようにHKUSTは学校を変えるスピード感、またそれを実現するスピード感がとても速いと感じました。

 

濵田:大多数のクラスメイトが寮に住んでいるのもHKUSTの特徴の一つです。だいたい7~8割の学生が寮に住み、数名で1つの部屋をシェアします。寮では夜遅くまで議論をしたり、時には飲み明かしたりと多くの時間を多国籍なクラスメイトと共に一つ屋根の下で過ごしました。この寮での共同生活は、インターナショナルな環境で働いていくにあたり得難い経験ができたと思います。

 

佐藤:私も寮での経験はとても印象的です。特にダイバーシティはHKUSTの特徴の一つです。多くのビジネススクールがダイバーシティを売りにしていますが、アメリカもしくは中国大陸の学校では、70%が自国の学生、残り30%に約20カ国を詰め込むような国籍構成になっている場合が多いと思います。一方、HKUSTは香港からの学生は僅かで、中国大陸、インド、その他アジア諸国、アメリカ・カナダ、ヨーロッパからロシア、オセアニア、アフリカまで、どこか1カ国がマジョリティを占めることなく、バランスのとれた国籍構成になっています。

 

International Night_HKUST

各国の学生が料理や出し物を披露するInternational Night

 

寮内でのパーティー_HKUST

寮内でのパーティー

 

 

就職活動 – MBA入学前から戦略的に

 

池田:さてここからは皆さんの就職活動の経緯についてお伺いします。皆さんは、前職とは異なる職種に転職されていますが、どのような経緯で今のポジションについたのか教えて頂けますか?

 

都築:MBA渡航前のタイミングに、様々な会社がMBA合格者向け壮行会を開催します。学生側としては、壮行会開催している企業の顔ぶれより、どのような企業がMBA生を積極採用しているのか知ることができます。その中の1社にPEがあり、現在勤務するファームの話を聞く機会があり、関心を持ちました。

現職へは、夏のインターン生としてまずは採用され、その後フルタイムのオファーをもらい今現在6年半働いています。インターン生として採用され、その後正式採用されるケースは、MBA生の典型的な就職活動パターンの一つです。

 

濵田:私は当初日本・海外問わず幅広く就職先を考えていましたが、海外転職は早々にあきらめました。理由としては、英語圏での就職は日本人以外のMBA生も競争相手となるため、競争が激しく、日本での就職と比較して良いオファーを得るのは難しいと判断しました。一方日本の場合、日本語の言語障壁があることから、日本人以外のMBA生が入って来難い環境にあります。日本のMBA留学生の数は毎年約200人程度、さらに半分は社費留学のため、実質競争は残り半分の私費留学100人のみで、日本の転職マーケットの方が有利だと考えました。

ゴールドマン・サックスは、入学前の壮行会で採用担当者と知り合い、HKUST渡航前7月の時点でインターンのオファーをもらいました。その後1年目と2年目の間の夏に10週間インターンを行い、フルタイムの正式オファーをもらいました。ゴールドマン・サックスはボストンキャリアフォーラムには出ないため、もし就職を希望される方は壮行会で面接に向けてアピールすることをお勧めします。

 

佐藤:私はMBA入学時からコンサル業界への転職を志望していました。しかしコンサル業界は未経験のため、まずは香港のコンサルティングファームで7カ月間みっちりとインターン経験を積みました。自分に足りていなかったスキルを補完しながら、業務内容を理解することが出来、改めて卒業後はこの業界を目指すのだという腹が決まりました。面接ではこのインターン経験についての話になることも多くあり、長期インターンでの業務経験は就職活動の際、非常に役に立ちました。

 

池田:皆さん入学当初からとても戦略的に動かれていますね。就職活動でHKUSTのネットワーク活用したり、卒業生の話しを聞いたりもしましたか?

 

都築:私はMBA在学時代、PEで働いている卒業生に話しを聞く機会が多くありました。

 

濵田:実は私はPEにも興味があり、在学時代に都築さんにお話を聞きに行きました。都築さんの上司にもお会いさせて頂きましたが、コンサルティングや投資業務の経験がないと難しいとのことで、投資銀行で経験を積むことを決めました。

 

hkust_体験記_童_卒業生との交流会

卒業生との交流会

 

 

採用を勝ち取った要因 – MBAでの経験・知識・ネットワークをフル活用

 

池田:入るのが難しいと言われるPE、投資銀行、戦略コンサルティングですが、採用を勝ち取った要因をどのように感じていらっしゃいますか?

 

都築:PEはカバーしている範囲が広いく、MBA卒業生でも全てのスキルを兼ね備えている人はなかなかいません。そういった意味では、HKUSTで、PE業界に長く働いていた教授から実際のノウハウを学べたことは大きかったです。

 

濵田:ゴールドマン・サックスのインターンは、毎年2名程度と少ないのですが、まずはインターン生として採用され、このインターン期間でしっかりと自分の実力を示せれば正式採用に至ります。

インターン期間は10週間、その間みっちりとカルチャーに適応できるか見られることになります。いわゆるハードワークに適応できるか、ロジカルシンキングで物事を考えられるかなどです。実務面では、私はExcelワークが得意だったので、データからファクトを積み上げるスキルは評価されたポイントの一つだと感じています。

 

佐藤:3つ要因があったと思っています。

一つ目は、信じることが出来たという点です。MBA留学以前は、戦略コンサルティングファームというと違う世界の仕事のように感じていました。MBA留学を通してコンサル業界出身者を身近な先輩や同級生に持つ中で、具体的なイメージを持つことが出来ました。

二つ目は、実務スキルを補完できたことです。面接選考で問われるものではないかもしれませんが、インターンを通して資料作成等の実務スキルを身に付けたことは自信になりました。

三つ目は、面接の準備です。コンサル業界特有のケース面接についてはクラスメイトや卒業生、他校の日本人MBA生と練習を行うことができました。グローバルトップMBAの一角として、そういったネットワークを活かせたことも良かったです。

 

 

HKUSTだから良かったこと – アジア・中国と共にある「香港」×ネットワーク

 

池田:ここまで様々な経験談をお聞かせいただき、有難うございました。最後に卒業後振り返ってHKUSTだから良かったことを教えてください。

 

都築:HKUSTで培ったネットワークが今の仕事に直接役立っています。

例えば、投資前の段階で資金集めを行っている際には、香港投資家にアプローチするのですが、訪問先に卒業生がいるので、ネットワークが役に立っています。投資後のタイミングでは、投資先企業の次の成長の機会を考えるとアジアのマーケットが最も魅力的な進出先としてあがるケースが多く、その際まずヒアリングを実施という場合に、アジアをベースに自分のネットワークがあることはとても大きいです。

 

濵田:まず、率直にHKUSTというトップビジネススクールを卒業したことが、ゴールドマン・サックスに入社できた要因の1つだと思っています。また、今の業務でアジアの案件に携わることも多いので、香港でアジアのビジネスを学んだこと、そして中国語も多少ですが活かせていると思います。最後に、ダイバーシティに富んだ100人のクラスメイトという「世界の縮図」のような環境で学べた意義はとても大きかったです。世界中に友人がおり、世界を小さく感じることができるようになりました。

 

佐藤:2019年香港民主化デモという歴史の転換点の真っ最中に現地の空気を肌で感じることが出来た点はとても大きかったです。日本でよく見る報道とは別に、自分なりのアジア地域の見方を培う機会になりました。様々な議論がある部分ではありますが、米中対立が進む中、中国企業と欧米マネーが出会う世界で唯一の場として、香港の重要性は高まっていくと思っています。

 

集合写真_HKUST

クラスの集合写真

 

池田:ここまでお話をお伺いし、戦略コンサル・投資銀行・PEというなかなか入るのが難しい職種でも戦略的に就職対策を行い、MBAネットワークもフル活用することで道を切り開くことができるということがわかりました。またアジアの重要性が高まる今、HKUSTはMBA留学先としてベストな選択肢の一つと言えると思います。皆さま、本日はどうも有難うございました。

 

 

※本セミナーの内容は個人の意見であり、所属企業・部門見解を代表するものではありません。

 

 

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