中国大陸Exective MBA(EMBA)への注目が高まっています。Financial Timesによる“Exective MBA ranking 2020”で2位にランクインしたCEIBS Global EMBAには今年度3名の日本人が進学。EMBAはMBAと比べ進学する人がまだ少ないものの、アジア各国が日本のビジネスパートナーとしてより重要度が増している中、MBAよりシニア、エグゼクティブ層向けのビジネススクール、EMBAを自身のキャリア、ビジネスに直接活かそうという方が増えてきています。
今回はCEIBS Global EMBAプログラムに、この2020年11月から通う安齊さんにEMBAへの進学の理由、出願準備、学校の様子、EMBAのビジネスへの活かし方などをお伺いしました。
プロフィール
安齊 朱晃 Shuko Anzai
Uzabase Inc. Executive Officer / SPEEDA China CEO
楽天株式会社にて神戸・大阪・京都支社を統括する楽天市場フード&ドリンクカテゴリー 近畿エリアマネージャーを経て、Uzabase HongKong Limited.に参画。SPEEDAの東アジア・東南アジア圏の営業・マーケティングを管轄。2021年より現職にて、BtoB SaaSビジネスであるSPEEDA事業の東アジアを統括。上海在住。LinkedIn
CEIBS Global EMBA プログラム概要
プログラム名 | CEIBS Global EMBA |
期間 | 20カ月間 |
授業スタイル | パートタイム、11月スタート、通学頻度は毎月1週間程度 |
キャンパス | 上海、チューリッヒ、バルセロナ、アフリカ |
出願スケジュール | 1st round 1/21、2nd round 4/10、3rd round 6/19、Final round 9/11 |
学費 | USD 108,000 |
クラスサイズ | 100人 |
平均年齢 | 38歳 |
マネージメント年数 | 5~10年 |
国・エリア | 21エリア |
※CEIBS EMBAホームページより抜粋、最新情報はこちらをご確認ください(2021年7月時点)
入学前
Why EMBA? Why CEIBS?
進学目的は、実践で学んできたマネジメントを体系的に学ぶことと、中国を起点として多様なビジネス人脈と生涯の友人作りです。その上で、EMBAにしたのは、端的に会社を辞めるメリットが見出せなかったためです。
前者については、私は、楽天、現職とマネジメントを7年経験してきました。実践の場で学び、PDCAを行いながら、成果を求め仮説検証仕組化してきたものの、自分の経験に依存しすぎているきらいがありました、1つ1つの経験を利害関係のない多様な経験の人の意見を取り入れながら検証すること、また海外の先進的な事例を学ぶことでより汎用的で多様なメンバーや大きな組織において機能するようなマネジメント経験にしていくことが今後のために必要だと考えました。
後者の人脈については、私は単純に自分の視野の狭さといった足りない部分と、海外の文化や諸外国の方の考え方に触れたい・知りたい、そして将来仕事が終った後も付き合えるような友人を作りたいといった好奇心から、ある程度出身国が多様で、Rankingが高く、コロナ禍でもFace2Faceが可能な海外への進学を選びました。香港のシカゴ大学と最後まで迷いましたが、Face2Faceと現在の軸を起点にCEIBSを選択しました。
EMBAである理由は、IT業界、ベンチャー業界に長く身を置いている人間からすると、学びを実践に活かし、かつ最新のテクノロジートレンドの場を離れたくなかったということがあります。
出願準備
上海に勤務していましたが、コロナ禍で日本に帰国した際、中国に戻れなくなりました。GW明けの5月に思い切って9月申請で受験することを決めました。プロセスとしては、まず卒業生の方に相談し、また徹底的に自分で検索し自分で考えざっと計画を立てました。時間もリソースもなかったため、AgosにEssayだけ応募しましたが、正直ほぼ確認だけで、Essayの準備はそんなにしませんでした。英語はIELTSがコロナで中止になったので1回のチャンスだけになってしまいましたが、仕事で使っていたこともあり無事点数も取れました。
大変だったのは、GMATのVerbalとMATHでした。MATHは、中学、高校の問題集とマスアカをやりました。特にマスアカに助けられました。入浴中やランニング中含め大体、週25~30時間勉強していました。
仕事もとても忙しく、かつ2020年はコロナど真ん中で世界が初めてのことで、会社や中国事業も大変だったのですが、フルフレックス勤務なので集中して出来ました。やる気なくなった時は、MBA受験生のTwitterを見ると良いと思います。皆同じ気持ちになりながら向き合っていますので。
学費工面
全額自己負担です。大きな金額ではありますが、MBAに行くのであればご自身で責任を持って自身で工面できるよう、あらゆるデッドとキャピタルを使って金銭の準備をしても良いと思います。
在学中
印象的な授業
一番初めのリーダーシップの授業です。チームを組んでスポーツなどを通しリーダーシップを学び、最後にチームで発表し合うという物です。
途中、各個人のバックグラウンド、実体験などを紹介し合うという場があるのですが、平均年齢38歳で社会的にも金銭的にも恵まれている学生が泣きながら自分の過去を共有している場が私には印象的でカルチャーショックもあって、大きな学びとなりました。具体的には、同級生は、自分のアイデンティティを揺るがすような経験を嗚咽を堪えながら共有していました。ヨーロッパ人だが移民経験があり、アイデンティティが複雑であったり、中国人だが、勉強や家庭、戸籍にトラウマや葛藤があったりなど、私自身が想定したバックグラウンドの想像ではない、大きな外部環境に依存した変化に立ち向かわないといういけない経験を語っていました。自分の小ささと多様性という言葉の難しさを知りました。
※CEIBS ホームページに私のインタビュー記事に、この授業の最終プレゼンの様子が載っています。
仕事と授業の両立
今のところ、努力の甲斐あり全てのクラスを高成績で納めることができていて自信がついてきました。これはまさにマネジメントで、私は軸と戦略を自分で考えた方が良いと思います。
軸は、家庭・仕事・自分・EMBAのどれなのか。また、それぞれの割合。そうしないと、いっぱいあるパーティーへの参加や勉強会の参加などができなくなり、平日と土日も、全てが中途半端になることになります。
戦略は、どう授業を効率的にクリアするかということですが、成績は参加態度・チームワーク・事前と事後アサイメントから評価されます。私の場合は、テストに自信がないので、参加態度とチームワークでカバーしています。毎回発言し、プレゼンやPPT、エクセルまとめなどのリーダーシップを発揮するよう努めています。
課題については、基本的には土日に時間を決めて処理しています。仕事含め土日をまるまる全て使い、月曜日から仕事になることもあります。
仕事へのEMBAの活かし方
幸いにも私は、上場企業のマネジメントにいるので、毎日EMBAの学びを活かせています。Managerial Accounting, Finance, Corporate Finance, Marketing, Leadershipなどが特に活かすことが出来ています。率直な感想として、MBAは、海外展開をしている上場企業に所属する、PLなどの管理権限のある経営幹部が一番活かせると思います。
また、ネットワークについては、情報提供をする企業に勤めていますので、セミナーに登壇してもらったり、教授に講演してもらったり、弊社のサービスの導入を検討してもらうなどといった形で、中長期的に成果を得ています。
クラスメイトとの思い出
自分の結婚式に、全クラスメイトからのメッセージムービーを作って貰ったのは良い思い出です。また、ヨーロッパの同級生で一生の友人になれそうな方も沢山いて嬉しいです。特に、EMBAは皆、余裕もあって家庭もあったりするので、実利を超えた関係を築きやすく、人生の相談も経験値からしやすいです。
中国語の必須度合い
簡単な会話は喋れた方が良いですし、聞けた方が仲良くなれます。
ただ、それ以上に英語と勇気は必須です。特に日本人は、事例数でも多く、皆からも注目される国である一方で、シャイで英語が出来ないという先入観が強いと感じます。英語をガンガン使って、自分の意見を伝える姿勢が必要です。
まとめ
こんな人にCEIBS Global EMBAはオススメ
MBAは、将来、起業含め上場企業で、経営幹部にてグローバルに挑戦したい方が適しているのではないかと思います。また、EMBAの特徴として、既に外資コンサルや投資銀行、ヘッジファンドを卒業した人間が多いです。
CEIBSの特徴は世界で最も成長しているMBAの1つであること、そして上海にあることもあり21か国という学生や教授の出身国が多様なのも特徴です。加えて、他のアジアのMBAより実践やネットワークを重視しています。
さらに、最も違う点として、ベンチャー含め起業家が多いのも、とても面白い点です。多くの中国の上場起業家やポストIPOがCEIBSにいらっしゃいますので、将来IT業界や起業をしたい方にはおすすめです。
未来のアジアEMBA生への応援メッセージ
私はCEIBS EMBAを個人の置かれた状況や環境を総合的に考慮して選択しました。ただ重要なことは、MBAにも、EMBAにも、過度な期待をせず、まずは自分を信じて、行動あるのみだと思います。何かあれば気軽にLinkedInなどからご連絡ください。微力ながら皆様の意思決定のご参考になりますと幸いです。