MBAに留学される方のバックグラウンドは様々ですが、今回は医師でありながら一旦キャリアを中断しCEIBSに留学された異色の経歴を持つ佐竹晃太さんが登壇された『卒業生体験談セミナー』が去る10月4日に開催されました。
佐竹さんは、留学2年目にはダブルディグリー制度を利用しアメリカ・ジョンズホプキンス大学にて公衆衛生学修士(MPH)を取得。卒業後は帰国し、日本で医療系ベンチャーを起業されたアントレプレナーでもいらっしゃいます。今回のセミナーはCEIBS留学を検討されている方、中国MBAに関心がある方が参加され、佐竹さんと直接対話する形式でアットホームな雰囲気で進行しました。本記事では、当日の様子をレポートとしてお届けします。
プロフィール
佐竹 晃太さん
中欧国際工商学院(CEIBS) MBA, Class of 2014 / ジョンズホプキンス大学公衆衛生大学院 公衆衛生学修士(MPH)
CureApp代表取締役社長、医師
大学卒業後、日本赤十字社医療センターなどで呼吸器内科医として勤務。2012年CEIBS入学、2年目はダブルディグリー制度を利用し米国・ジョンズホプキンス大学で公衆衛生大学院公衆衛生学修士(MPH)を取得。帰国後、2014年7月株式会社CureAppを設立。「アプリで治療する未来を創造する」をビジョンとして掲げ、薬と同様に治験を経て国から薬事承認を受け保険適用もされた日本初のニコチン依存症治療アプリを開発。その後非アルコール性脂肪肝炎(NASH)治療アプリ、高血圧治療アプリなど、様々な領域での治療用アプリを手掛ける。
Why CEIBS?
Q:佐竹さんはなぜCEIBSに進学されたのか教えて頂けますか?
A:大学卒業後、内科医として医療機関で勤務していました。医師としての働き方に充実感を感じていた一方で、ずっと医療の世界に身を置いていたこともあり、医療以外のことも学びたいという気持ちと海外で住んでみたいという思いを持っていましたことが、海外留学を目指したきっかけです。このような経緯と、大学時代に中国語を学んだ経験、そして中国には友人もいたこともあり、経済成長率が高く勢いのある中国でMBAを取得できるCEIBSへの進学を決めました。
MBA入学前&中国語
Q:MBA開始前に実際にやったこと、今振り返ってやっておけば良かったことがあれば教えてください。
A:MBAに受かってから入学前にやったことは、会計と中国語の勉強です。私はMBA以前はずっと病院に勤務しており、一般的な企業業務に携わる経験がありませんでした。そのため、入学後授業についていけない場合の補助教材として、ファイナンス、マーケティングなどの基礎科目は念のためグロービスが出している日本語の本を持参しました。
今振り返ってやっておけば良かったなと思うことは、現地でしかできないことをどれだけ楽しむかに尽きると思います。MBA留学でしか得られないネットワーク、言語文化を超えて深めた友情は一生の宝になります。またCEIBSは中国国内では非常にブランド力が強いので、現地にいる間に積極的に活用すべきです。そういった意味では、予習などはあまり必要ありません。MBA、現地での学生生活を全力で楽しんでください。
Q:中国語はどの程度勉強し、どのレベルまで達しましたか?
A:入学当初はビジネスレベルを目指しましたが、結果難しかったです。理由としては、二年目にアメリカにダブルディグリー取得に行ったため、中国滞在が一年だったこと。もう一つは一年目は授業も忙しいのですが、それに加えクラスメイトとのネットワーキング、交流を重視していたので、中国語勉強にあまり時間が割けませんでした。ただし、中国語に対する熱量、コミットメント次第で、留学期間中にビジネスレベルに上げることも十分可能だと思います。
在学中 – 学校の雰囲気&印象に残っている授業
Q:学校の雰囲気、印象に残っている授業を教えてください。
A:CEIBSは約6割が中国人の中国色がやや強い、インターナショナルなクラス構成です。英語に関しては大多数がノンネイティブ、そして中国と日本は同じアジアですし似ている部分も多く、とても仲良くなりやすかったです。学生だけでなく、教授陣との距離が近いのもCEIBSの特徴です。CEIBSのDean、Facultyは欧米からも著名な教授陣を集めておりとてもレベルが高いのですが、生徒との距離感が近く、私は卒業後もずっと繋がっています。
印象に残っている授業は3つあります。一つはDr. Bin Xuのマクロエコノミクス、二つ目はDr. Bala Ramasamのミクロエコノミクス、三つ目はDr. Rama Velamuriのアントレプレナーシップ、どの教授も事例が多く、話が面白いです。
卒業後 – 中国&アメリカ留学の経験がキャリア・起業にどう活きたか
Q:CEIBSで最も価値を感じる経験はどのようなものでしたか?
A:私は中国・アメリカの大学院をそれぞれ1年づつ体験しました。私がCEIBSに留学した、2012年当時の中国では自分の周りのクラスメイトや中国人が皆、「自分はこれから必ず成長する、人生ももっと良くなる」と信じていることに非常に驚きました。“病は気から”と言いますが、“経済も気から”からなのではと感じ、このような上昇志向・前向きな気持ちは経済、社会、企業にとってとても大切だと感じました。この中国人のマインドセットは、私自身起業する際にも参考にしました。
ジョンズホプキンス大学は、医療分野におけるハーバード大学とも言われる、医療系グローバルランキングトップの大学です。ここで出会った学生は、皆スマート。しかし中国のような自分の想像を超える価値観との出会いはありませんでした。
中国、CEIBSに行っていなければ起業していなかったかもしれません。私にとっては、中国・アメリカ両方見た経験が、双方の価値をより高めてくれました。
Q:スタートアップを成功させるにあたり、MBAはどう役立ちましたか?
A:起業にMBAが役立つかはケースバイケースだと思います。私の場合は役に立ちました。MBA以前は病院勤務でビジネス経験なく、今が一社目という感覚です。そのため経営の基礎をMBAで一通り学べたことは、とても大きかったです。またアメリカ留学中には、今の事業の種となる出会いがありました。最後に中国で感じた“やってみなはれ精神”は、日本で事業を立ち上げる際にとても役に立っています。
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