MBAランキングには複数の調査がありますが、その中でも学校・受験生共に注視しているランキングの一つ“Financial Times Global MBA ランキング 2022”が先日発表されました。アジアMBAを中心に今年の動向を見ていきましょう。
Financial Times Global MBA ランキング 2022
Global MBA ランキングトップ50
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昨年COVID-19の影響でランキング参加を見合わせていたHarvard、Stanford、Wharton、Columbia、MITなど米国トップスクールが今年はランキングに復帰したことを受け、上位は米国MBAプログラムが多くランクインしています。
アジアでは、16位に中国・上海にキャンパスがあるCEIBSがランクイン。CEIBSは昨年度まで4年連続トップ10に入っていたので、今年は若干ランキングを落とした結果になっています。
アジアMBAでトップ100にランクインした学校
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トップ100にアジアMBAからは、中国大陸6校、香港3校、シンガポール3校、インド3校、韓国1校、合計16校がランクインしています。
ランキング推移
アジアMBA主要校のランキング推移
2022年はINSEADを除き、アジア主要MBA各校ランキングが下がる結果になりました。
MBA取得3年後の平均給与推移
Financial TimesのMBAランキングでは、評価においてMBA卒業後の給与パフォーマンスがランキング順位に大きな影響を与える構造になっています。2020年度までは右肩上がりで主要アジアMBA各校の平均給与は上昇してきましたが、2021年、2022年は若干ダウン傾向になっています。
アジアMBA今年のトピック
アジアMBA多くの学校はランキングダウン傾向
今年の最も大きなトピックは、アジアMBA主要校の多くがランキングを下げた結果になったことです。なぜこのような結果になったのか、考えられる理由をいくつかご紹介します。
第一に昨年は複数の米国トップスクールがCOVID-19によりランキング参加を見合わせましたが、今年はそれらの学校が復帰した影響が考えられます。
二つ目は、アメリカのインフレによる賃金上昇です。Financial Times MBAランキングの調査は、MBA資格取得から3年経った卒業生(今年は2018年のFull-time MBA卒業生)を対象に、卒業後のキャリアアップについて(MBA修了後3年間の平均年収、MBA取得前と比較した給与上昇率)の調査が行われ、この回答が調査全体の61%という大きなウエイトを占めます。2020年まではアジアMBA各校のMBA取得3年後の平均給与は上昇トレンドでしたが、2021年、2022年は若干ダウン傾向。一方でインフレが急激に進むアメリカの賃金上昇は、米国MBAの卒業生達の給与アップにも寄与していると考えられ、米国MBA各校のランキングアップの要因の一つになっていると見られます。
このようにCOVID-19が発生した2021年以降のランキングは、以前とは異なる状況であることを念頭に置き結果を見たほうが良いでしょう。
北京大学がランキング初参加
2022年の注目すべき点としては、北京大学が初めて本調査に参加し42位にランクインしました。中国大陸の最高学府である北京大学と清華大学は今までFinancial Times MBAランキングに参加していませんでした。しかし、近年中国大陸の総合大学系トップ校である復旦大学や上海交通大学がランキングに参加しており、さらに昨年からは清華大学がランキングに参加したことを受け、北京大学も今年から参加したものと見られます。
トップ100に中国大陸6校がランクイン
16位CEIBS(上海)、32位復旦大学(上海)、42位北京大学(北京)、58位上海交通大学(上海)、60位清華大学(北京)、65位同済大学(上海)と多くの学校がランクインし、中国大陸のMBAが着々と実力を挙げてきていることが伺えます。
近年中国MBAに進学する日本人の方も増加傾向にあり、多くの方は卒業後も中国でキャリアを積むことを目標にしています。中国MBAは中国ビジネスに携わりたいと考えている方にとっては、現地でのネットワーキング、中国語力アップなどもでき、一つの有益なキャリアアップの手段になっています。
復旦大学(中国・上海)は近年コンスタントに40以内にランクイン
中国大陸のプログラムで注目すべきポイントとして、32位の復旦大学MBAが挙げられます。アジアMBA主要校がランキングを下げる中、復旦大学MBAは今年も40位以内にランクインし、中国大陸の総合大学系ビジネススクールで1位を取り続けるなど、実力をつけているプログラムです。しかしながら、現状では日本人進学生の数は非常に少なく、日本人がいないところで自分の実力を試したいという方にはとても適した、穴場のプログラムと言えそうです。
ランキングは学校選びの一つの参考情報に過ぎません。特にアジアMBAは、エリア・学校ごとに大きく特徴が異なります。学校選びをする際は、ホームページ、卒業生・在校生との交流、アドミッションとのコミュニケーション、キャンパスビジットを行い、自分に合う学校を探し出してください。
【出典】Financial Times Global MBA Ranking 2022はこちら
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