【MBA留学体験記】香港大学(HKU)高市 芳郎 <2019年入学>

HKU_高市_トップ画像

 

自己紹介

 

名前                     : 高市 芳郎 Yoshiro Takaichi

入学時年齢          : 38歳

入学前学歴          : 一橋大学経済学部(2005年3月卒)

職歴                     : 日系建設会社財務部

留学方法             : 私費

海外留学             : 学部生時代に上海に1年半

IELTS                 : Total 7.0

GMAT                : 非公開

 

 

なぜMBA

 

新卒で日系建設業に入社し、人事や経理などの管理部門、在外子会社での建設プロジェクトなどを経験した後、10年目を超えたあたりから徐々に自らの生産性や創造力に行き詰まりを感じるようになっていました。また社内での様々な出来事や人間模様を見る中で、組織とはいかにあるべきか、人材をどのように惹きつけていくべきか等に興味がわいていました。

 

このような中、これまでの経験を振り返る時間を取って人生の方向性を見直し、また建設業とは異なる業種のビジネスモデル等の新たな知識や経験を得られる機会があるMBAを志望するようになりました。会社員生活を十数年続ける中で自由な時間が欲しかったというのも正直な理由です。

 

 

なぜアジアMBAか、香港大学か

 

学校を選定する中で、大学の知名度やランキング、授業内容も重要ですが、私はどちらかというと街の魅力も重要視しました。高いMBAの授業料を払って1年数か月住むことになるのだったら、あこがれの街に住みたいと思いました。金融センターとしての香港、中国大陸ビジネスとの中継地点としての香港、Greater Bay Area(香港から広東省一帯の経済圏、略称GBA)に位置する香港、様々な見方があると思います。私の中で香港という街は、旧イギリス植民地でありながらも中華圏の文化が根強く存在し、高層ビル群を裏道に一歩入ると古い中華料理屋があってチャーシューが軒先にぶら下がっているという混沌を感じさせる街でした。英語圏かつ中国語圏で両方の入り混じった手書きの看板や人々の活気など、香港での生活を想像するとワクワクさせられる街です。住むならここ以外ないと考えていました。

 

また学校という側面でも、香港大学ゆえに応募したという背景があります。その理由としては大学の持つ歴史、香港島という立地、MBAの選考過程が受験勉強重視というよりも人物重視だったことが挙げられます。受験過程から入学後の学習環境、香港での生活環境等を総合的に見た際に、自分の30代で大事な時間を費やす価値があると思ったのが香港大学でした。

 

HKU_高市_西営盤

トラムのある街並み(香港島西営盤)

 

 

MBA全体スケジュール

 

香港大学のMBAは、2020年入学以降、1年制(香港8カ月、交換留学4カ月)になっており若干プログラムが改編されています。私が入学した2019年は14か月(北京1カ月、香港9カ月、交換留学4カ月)でした。

 

交換留学先は入学時点でコロンビア大学、ロンドンビジネススクール、復旦大学のいずれか決まっているため、香港滞在期間は授業と各自の優先事項に重きを置いて過ごしています。学校で求められる授業へ主体的な参加、密なチームワーク作業等に加え、フルタイム生でありながらもパートタイムの授業をうまく組み合わせて平日インターンをしている人、就職活動を始めている人、自由な学生生活を最大限に謳歌している人たちがいます。また、インターンなどを通じて採用のオファーを受けた学生は、交換留学を取りやめて香港に残って働くという選択をする人もいます。時間的にも地理的にも自由が大きい分、いかにこの期間を過ごすか、自律が求められる環境です。

 

HKU_高市_授業1

学校風景(サイバーポートキャンパス)

 

私の場合、香港滞在中は久々の大学生活のため学業を優先していました。2020年3月から上海の復旦大学に交換留学に行く予定でしたが、コロナの都合で復旦大学はキャンセルとなり、アメリカのコロンビア大学へ行き先が変更となりました。当時はコロンビアも交換留学生の受入れを一旦中止していたので、まずは香港大学で卒業要件の単位数を確保して、コロンビア大学の出方を見ようという形になりました。アメリカに行けなくなっても香港大学での単位で卒業できるようにしておくという善後策のおかげで、心理的な負担が軽減されました。

 

結果として、同年8月アメリカに渡航してコロンビア大学へ交換留学に行けることになりました。各国のビジネススクールが完全にオンラインに切り替わる中で現地へ渡航できたのはラッキーだったかもしれません。

 

<取得コース数>

各タームで取得したコース数

HKU_高市_取得コース

 

<忙しさ度合>

各ターム毎費やした時間を%で表示

HKU_高市_忙しさ度合い

 

<授業リスト>

HKU:香港大学、CBS:コロンビア大学

HKU_高市_授業リスト

 

 

印象的な授業

 

履修科目の中では、以前より興味のあった組織開発や意思決定等のクラスに重きを置いて授業に臨みました。MBA全般を通じて学ぶ理論やビジネスモデル自体はあまり大きく差がないと思うのですが、教授の教え方や物事の見方については差があるのではないかと思います。私の香港大学の印象は、割と現実的な先生も多いというイメージです。ここでは私が印象に残った教授の発言をいくつか紹介します。

 

まずファイナンスの授業で、慣れない理論やモデルに苦労しつつもテストやレポートをやっと終えた後の最後のクラスで、教授が生徒に贈った言葉です。

「授業の中で様々なファイナンスのモデルを学んできたが、本当にこれで儲かるのであれば、みんなこれで儲けているだろう。実際の世の中は全員が儲かっているわけではない。なぜなのか、考えてみてほしい。」

 

二つ目は、キャセイ航空の元CEOの方が教授となり、いわゆる帝王学のような選択科目が開講されていたのですが、そこで彼がつぶやいた一言も忘れられません。(この一言を紹介するとMBAオフィスにお叱りを受けるかもしれませんが・・・)不十分な情報下における意思決定や危機管理体制をこの授業で学びました。

「私(教授自身)もMBAに行ったが、ケーススタディのような網羅的な情報が与えられた上で意思決定を求められる場面は少ない。経営者はむしろ不完全な情報下で意思決定を求められる方が多いから、ケーススタディは実践ではあまり役に立たない。」

 

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授業風景(上記2番目の元CEO授業)

 

最後に、交換留学先のコロンビア大学で履修した新興国ビジネスモデルの授業で、教授の残した最後の一言にも心にぐっと来ました。MBAでは成功して利益を生んだビジネスモデルやケーススタディに飛びつきがちですが、世の中の仕組みをより良い方向へ進めるためのビジネスモデルや、利益はでなくとも教育水準を底上げするために新興国で奮闘している若者たちが存在している例を最後の授業で取り上げました。

「君たちは社会を変えることができる。金儲けだけが人生の目的ではない。」

 

この1年半を振り返ると、MBAの授業を通じて様々な新しいビジネスや理論を学ぶ機会に恵まれました。また、多くの人前で話す力、外国語で的を射た発表資料を作成する能力など実務的な技能も改善したものと思います。私個人としては、香港とアメリカのビジネススクールに実際行って他の学生とやり取りする中で、アジアと北米のMBA生でのビジネスの視点や考え方の違い、日本社会の独特さなども体感させられたことは有益でした。MBAを通じて得た経験を授業の枠を超えて現実社会でどう活かしていくのか、そして今後の自らの人生で何を優先したいのか、日々考えさせられることが多かったと思います。

 

HKU_高市_パネルディスカッション

MBA生によるパネルディスカッション(出身国による文化・習慣の違い等)

 

 

就職活動

 

MBAのキャリアオフィスが主催する会社訪問に積極的に参加しました。転職したいという動機よりも、他の会社を物理的に訪ねて最前線で働く人たちの話を聞き、また会社の雰囲気を知る機会は滅多にないと感じたからです。抗議活動や新型コロナウィルスの流行の影響で実際に訪問できた企業は香港内に限られましたが、金融から戦略コンサル、IT、メーカー、物流、テレビ局など幅広い業種の会社を訪問しました。余談ですが、社員の休憩スペースにあるコーヒーメーカや軽食を見るだけでも、社員をどう扱っているかを垣間見れる瞬間で面白かったです。

 

新型コロナによってアジアの主要都市に訪問ができなくなった後は、シンガポールや中国にある企業との間でオンライン訪問企画が増えました。私の同級生の実例としては、キャリアチェンジを目的に転職活動をして、デジタル通貨のスタートアップやDX関連の戦略コンサルに就職した人たちもいます。MBAは転職に挑戦するのもよい機会だと思いますし、各人の目標や置かれた状況などに合わせて柔軟に進路を決めるのでよいものと考えています。

 

HKU_高市_TVB

企業訪問TVB(香港のテレビ局にて)

 

 

MBAの総括

 

授業や学生生活だけでもMBA生の話題のネタは尽きないと思いますが、加えて香港特有の抗議活動やコロナウィルス、それによる卒業時期遅延、コロナ真っ只中のアメリカ交換留学など、話題に尽きない一年半でした。もちろん想定外の事象にヤキモキする時期もありましたが、振り返って前向きに考えるとこのような感じになります。

 

  • 香港の抗議活動 → このタイミングでリモート併用の授業が採用されたため、新型コロナの際にも授業は中断されることなくリモートへ移行
  • 新型コロナウィルス → 一旦日本に帰国し実家に身を寄せて数か月過ごすことになり、貴重な親孝行のチャンス
  • 中国への交換留学中止 → MBAオフィスに交渉して交換留学先をアメリカに変更、北米中心のビジネスや考え方に触れ、北米MBA生の雰囲気も感じることができたチャンス

 

2019年というこのタイミングで香港大学MBAに入学できたことは、私にとって大きな人生の財産になりました。MBAオフィスの柔軟な対応がなければこのような体験は実現しなかったものです。また、様々な視点や気づきを与えてくれ、どんな状況下でも貪欲に楽しむことを教えてくれた同級生にも感謝が尽きません。

 

HKU_高市_ニューヨーク

同級生と記念撮影(ニューヨークにて)

 

<留学費用>

HKU_高市_留学費用

 

<留学資金工面>

HKU_高市_留学資金工面

 

 

受験生の皆様へ

 

MBA進学や学校選定で情報を集めることは重要ですが、私の体験談を含め他人の意見を鵜呑みにせず、自分の直観や思いを大事にして計画を立てることをお勧めします。また新型コロナが落ち着いたら一度キャンパスに行ってみるのもいいかもしれません。

 

香港大学MBAに関する情報を取りまとめたホームページがありますので、そちらもご覧ください。また、変化の多い昨今ですので重要な事項については大学にも最終確認いただければと思います。

 

香港大学MBA 公式サイトはこちら

日本語非公式サイトはこちら

 

 

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