【MBA留学体験記】香港大学(HKU)福田 恭司 <Class of 2019>

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プロファイル

 

名前 :       福田 恭司 FUKUDA Kyoji

入学時年齢 :    33歳

入学前学歴 :    オレゴン大学 経済学部 (2007年9月卒業)

職歴 :    (現職)Merrill Corporation(勤務地:香港)

(前職)成田国際空港株式会社 (勤務地:日本)

(MBA前)勤務年数10年間

留学方法 :     私費(休職)

海外経験 :     幼少期に10年間香港で過ごした他、出向で2年間香港駐在経験あり。学部時代はアメリカで4年間学生生活をしていました。

 

 

入学前

 

「縁」のある香港(なぜ、アジア?なぜ、香港?)

 

私がアジア、それも香港大学のMBA(HKU MBA)を選んだ理由はとても単純明快です。それは「縁」があったからです。

 

少し私個人のバックグラウンドを紹介します。

生まれは香港で10歳までこの都市で育ちました。中国に返還される直前の時代です。その後は日本に生活拠点が移りましたが、長期休暇の度に家族で香港を訪れ、急速な発展と変化を続ける街を傍観しながらも、私の人生において香港は切って離せない存在だったと記憶しています。大学卒業後、新卒で成田国際空港株式会社に入社し、10年間勤めましたが、そのうち2年間は出向で香港に駐在もしておりました。

 

私が空港勤務をしていた期間、日本ではインバウンド熱が年々高まっており、訪日外国人旅客の増加、新規航空会社の就航、記録的な免税店売上達成等、アジア経済、それも特に中華圏の影響が強まっていることを業務上で実感することが増えていきました。

 

日本を拠点に社会人生活を謳歌しつつも、関心が次第にアジアに移っていき、今後も日本だけに留まって生活するという前提が、自分の中で徐々に崩れていきました。とはいいつつも、具体的な目標があるわけでも、転職活動や留学準備を行っていたわけでもなく、ただ漠然と焦燥感だけが募っていき、悶々とした日々を過ごしていたことを今でも覚えています。

 

そんな最中、東京でMBAフェアが開催され、それに合わせて各校のアドミッションチームが訪日するという話を耳にし、あくまでも自分の将来を検討する手段の一つとして、香港大学を含むアジアの大学各校に面談を申し込みました。

 

面談では、自分を売り込むことよりも、MBAを通してどのような経験や知識が得られるか各校に聞き込みを行いました。話を聞いているうちに、「多様な国籍や業務経験がある人材と交流ができること」「興味関心に合わせて広い分野から科目を選択できる」という点が、モラトリアム期間を欲していた当時の自分に響き、MBAを受験する意思が固まっていきました。中でも香港は中華圏と欧米的文化が併在するダイナミズムが魅力的ですし、何より個人的に思い入れのある場所なので、受験先は香港の大学に絞りました。

 

HKU_福田_香港大学裏山(ビクトリアピーク)からの光景

香港大学裏山(ビクトリアピーク)からの光景

 

 

受験を決めて3か月、短期集中でやり切った受験準備

 

複数校の面談している中で、HKUのアドミッションチームが一番親身になって相談に乗ってくれたのが印象的でした。また、業務経験を高く評価してもらい、「早く申し込んだ方が奨学金を貰える可能性が高いから」と、その場で1stラウンドの受験を勧められました。

 

しかしながら、面談の時点で既に2017年の10月初頭。11月中旬の1stラウンド申し込み期限まで残り期間も僅か。その時点ではGMAT過去問題集を書店でパラパラ眺めている程度の状況でした。MBA受験が現実を帯びてくるとともに、準備不足が露呈して焦る一方で、もう若くもないし、悠長にもう1年悶々とした状態のままでいるのは合理的ではないと判断し、自分の将来に対する尽きない不安や悩みは一先ず脇に置いといて、MBA受験準備に全神経を注ぐことにしました。

 

必要書類を何とか11月の1stラウンド締切りに間に合わせて提出し、12月上旬には面接、12月中旬にGMAT初受験(我ながら無謀すぎる!)。結果は決して高得点とは言えなかったため、不安な気持ちで悶々と結果通知を待っていた最中、クリスマス直前に奨学金付きの合格通知が届きました。

 

当初「MBAはあくまでも選択肢の一つ」という考えでした。そもそも私はビジネスで成功したいわけでも、早く昇進したいわけでもないので、企業幹部候補を育てることを目的としたMBAは向いていないのかもしれないという不安すら抱いていました。しかし受験準備やキャンパス訪問を経てMBA挑戦に対する意欲が高まっているのを、合格通知を貰ったことではっきりと自己認識することができました。「ベスト」な選択ではないかもしれないが、その時点で何が最善の選択であるかは誰にもわからない。でも、折角縁あって「ベター」で面白そうな道が開けたのだから挑戦してみよう。そう決心して入学承諾の返事を出し、私のHKU MBAライフが幕を開けました。

 

 

在学中

 

MBA 全体スケジュール

 

HKU MBAの一つの特色として、香港でMBAプログラムが開始する前に、北京語言大学にて語学研修及びオリエンテーションで4週間過ごす機会が設けられていることがあります。約60名の同級生ほぼ全員が北京に一堂に会して「濃い一夏」を過ごし、これから待ち受ける「さらに濃い」MBA生活を共に乗り越える仲間との交流を深めます。同時に家賃が高い香港でのルームシェア相手を見つける同級生も多く見かけました。私は中国語学習経験者だったため、MBA同級生とは別の上級クラスに編入させてもらい、短期間で語学レベル向上を図ることができたことも大きな収穫です。

 

北京での研修終了後、7月末に香港で各オリエンテーションが開始し、8月から本格的に授業が開始します。

 

<取得コース数>

各タームで取得したコース数

※0.5はHalf Courseを示す

 

<忙しさ度合>

各ターム毎費やした時間を%で表示

※1年目夏の語学は、6月末~7月末の北京語言大学プログラム

※2年目夏、7月中旬には就職先決定

 

学部時代に経営や経済を専攻していた場合は、関連する必修科目の免除が申請できます。私は会計とミクロ経済は免除をしてもらい、その分選択授業を多く履行しました。それにより、プログラム開始当初は比較的ゆったりと過ごせましたが、年末にかけて選択科目が重なり、とても慌ただしくなってしまいました。

 

翌年3月には香港におけるMBA生活が一区切りつき、以降は香港大学が提携する留学先(コロンビア大学またはロンドンビジネススクール)で各々1学期を過ごすことになります。私は香港に残る選択をしたため、香港に残って4月~6月にかけて残りの単位を取得しました。

 

中には3月末には全ての単位を取り終え、残りの期間はインターンや就職活動に精を出している同級生もいました。留学前に就職が決まった同級生も数名います。このように1年未満という短い期間に学生生活を凝縮し、次のライフステージに移ることが可能なのもHKU MBAの魅力の一つです。

 

HKU_福田_北京で過ごす「濃い一夏」

北京で過ごす「濃い一夏」

 

 

【ここが我が校の自慢!】香港島にキャンパスを有するHKU MBAの圧倒的な地の利

 

短く凝縮されたプログラムでありつつも、学生生活と就職活動が両立できたのも、香港島にキャンパスを有する香港大学の地の利によるものが大きいと感じます。

 

HKU MBAの授業は基本的に2箇所で行われます。必修授業が多いプログラム前半は香港島の南に位置するCyberportで1日過ごす事も多いですが、選択授業が増える後半は、金融街であるAdmiralty駅直結のTown Centreでの授業が中心となります。香港島西側に位置するメインキャンパスへは、主に図書館や自習室利用のため、深夜や週末に赴いていました。

 

このように香港島各地にキャンパスが点在しているため、学生の身分でありながらも、構内で過ごす時間が比較的少なかったように思います。おかげで逆に行動範囲が広がり、香港の華やかな街全体がキャンパスであるかのような錯覚を覚えました。

例えば、

午前:キャリアオフィスによる会社訪問イベント
午後:Cyberportで必修授業
夜:Town Centreで選択授業、またはイベント会場やバーに赴きネットワーキング

といった非常に濃縮された一日が「ありふれた日常」でした。

香港は美食の街でもあるので、課題やグループワークに時間を追われつつも、合間の息抜きに繁華街の流行りのレストランやカフェを訪れ、都会的なライフスタイルを享受することも十二分に可能です。

 

HKU_福田_クラスメートと火鍋を囲んで団欒

クラスメートと火鍋を囲んで団欒

 

また、意外や意外、香港は自然が溢れており(都市部は全体面積の僅か1/4)、大学の裏山にイノシシが出没した、なんていう話も良く耳に入るほどです。涼しくなると毎週のようにクラスメートとハイキングに出かけてリフレッシュをしていたため、慌ただしい中でも安定した精神状態で無事MBA生活を乗り越えることができました。

 

HKU_福田_多忙な学生生活の合間に香港の山々を走破するタフな奴ら

多忙な学生生活の合間に香港の山々を走破するタフな奴ら

 

このように、香港という世界有数の国際都市での暮らしを謳歌している自分を学生の内からシミュレーションできるそんな機会をHKU MBAは提供してくれます。

 

 

【印象に残った授業内容1】Business Lab

 

起業家を育てることを目的とした実践的でMBAらしい授業でした。実際に起業することを前提でグループワークを進め、フィナーレとして起業家や投資家を前にプレゼンを行い、入賞チームは表彰される他、起業に際して必要な様々なサポートを得る機会が与えられます。

 

私のグループは「ブロックチェーンを応用した保険手続きの効率化」を提供するプラットフォームについて発表しました。既に起業経験があり、ITノウハウも有する非常に有能な現地パートタイム生の「次のビジネスアイディアを試したい」という意気込みに賛同したメンバーが集結し、毎週末大量のディスカッションやレポート作成を行いました。私はサポート役でしたが、最後にはチームとして最優秀賞を表彰することができたのは、MBA生活のハイライトの一つです。

 

当初、スタートアップに対する関心は決して高くなかったものの、授業やグループワークを通して、現地スタートアップコミュニティの動向を肌で感じることができたことや、これまでの社会人生活で交わることがなかった人材と交流を深めることができたのは非常に有意義な経験となりました。

 

HKU_福田_Business Labにて受賞!!

Business Labにて受賞!!

 

 

【印象に残った授業内容2】Legal Environment in Asia

 

ビジネス法務に関する授業で、国際商取引における法令や契約時の留意事項等について様々なケースを通して学びました。選択科目ですが、学んだ知識はどれもビジネスパーソンとして知っておくべき内容で、必修ではないのが不思議に感じるほどでした。

 

この授業の醍醐味は、グループワークが極めて実践的だったことです。ドローンの製造者側とアジア販売代理店側に分かれ、両者ともに当初契約を不履行した疑いがあるために係争案件となったところからケースが始まり、双方係争事項を解決した上で再契約の方向性について協議し、契約書を一から作り直す。といった内容でした。

 

授業で学んだ法務知識に加え、これまでMBAで培った市場リサーチや交渉スキル等をグループとして総動員して臨みました。相手チームと本気で口論になりつつも、ゲーム感覚で楽しんで取り組むことができ、MBA最後の授業に相応しい内容だったと感じます。

 

 

インターンと学生生活の両立

 

2018年2月下旬から5月末にかけて、キャリアオフィスの紹介で、ラグジャリー市場に特化したマーケットリサーチ会社でインターンとして勤務しました。MBA留学直前まで、空港免税店に関連する業務に携わっていたのですが、その時から関心のあった富裕層の消費動向を深く学ぶ良い機会となりました。

 

幸いにも開始早々実務に携わらせて貰い、調査データの精査を行った他、調査結果を元にクライエント向けのレポートを下書きする業務を担当していました。

 

午前中はインターン、午後~夜は授業にグループワーク、と息をつく暇もない日々が続き大変でしたが、職場とキャンパスが近かったおかげで十分両立可能でした。また、本格的に就職活動を始める前に、現地での就業体験することは、キャリアの方向性を考慮するのに際して非常に有用な判断材料となりました。

 

 

アジア3大都市(深圳/シンガポール/上海)へのキャリアトレック

 

毎年恒例のイベントとして、アジアを代表する各都市へのキャリアトレックが実施されます。大学やMBA卒業生ネットワークをフルに活用して企業訪問アポをとり、現地就職の手がかりとすることを目的としています。

 

私は上海トレックの幹事メンバーとして、マーケティング(参加メンバー募集)、スケジュール調整、企業訪問時の挨拶スピーチ等を担当しました。3泊の旅程で10社訪問という凝縮されたスケジュールで、金融・コンサル・ブランド・ハイテクを含む様々な業種の採用担当と意見交換を行い、現地の就職事情に対する理解を深めることができました。

 

夜には現地で働く卒業生とのネットワーキングイベントもあり、私はそこで得たコネクションを通して1社採用面接の機会を得ることができました。

 

HKU_福田_上海トレックにて会社訪問ツアー実施

上海トレックにて会社訪問ツアー実施

 

 

就職活動

 

就職活動は、2019年4月頃から徐々に開始し、キャリアオフィスの紹介や現地の就職エージェントを通して計10社程度の会社と面接を行った上で、最終的に、社風と条件が合ったMerrill Corporationという米国資本のFintech/SaaS企業への就職を7月に決めました。8月末から香港のアジア統括オフィスにおいて、日本を含むアジア太平洋地域全体のカスタマーサクセス担当として働いております。

 

業務経験が既に10年あったためか、面接ではMBAに触れられず、前職の経験について詳細な説明を求められました。私の場合は、元の業界が特殊である上、経理・経営計画・リテール等、ジェネラリストとして多様な経験をしていたため、志望企業ごとに、わかりやすく一貫性のあるストーリーを組み立てるのに非常に苦慮しました。

 

MBAが現地就職において直接的に有利に働くかどうかは、各個人のバックグラウンドやライフステージによって異なるので一概には言えません。私の場合は、初めての転職であった上、現地就職事情に疎かったため、キャリアオフィスのサポートを大いに活用しました。また、香港でMBA取得後、現地で活躍されている日本人アラムナイの皆様にも相談に乗っていただき、転職エージェントをご紹介いただいたことで、最終的な就職先を見つけることができました。

 

 

未来のアジアMBA生への応援メッセージ

 

キャリア形成の仕方は大きく「望遠鏡型」と「万華鏡型」に分かれると聞いたことがあります。MBAホルダーというと、若いうちから留学を計画し、20代中盤~後半にはMBAを生かして外資系金融やコンサルに転身して大幅年収アップ、という前者の王道なキャリアを歩んでいる人物を思い浮かべる方も多いかと思います。

 

実際にMBAに入ってみると、目的が明確な「望遠鏡型」の同級生も当然いますが、私のように、これまでのキャリアプランを一旦白紙にし、様々な可能性を排除せずに次のステップに進むための手がかりを模索している後者の「万華鏡型」の人間も少なからずいます。

 

そういった「万華鏡型」の方こそ、アジアMBAは一考に値すると思います。1年という短い期間で、これほどまでに多くの企業や人物と交流し、幅広い知識に触れた経験はこれまでにありません。外国において、異業種、異職種、異言語という完全なキャリアシフトをした上で、若干ながらも年収アップを実現できたのも、HKU MBAを経たからこそだと実感しております。

 

当然、働き始めてから日も浅いので、現職が「最適解」であるとはまだ自信を持って言えません。正直のところ、まだまだキャリアの方向性を模索中の段階であることは否めません。ただ、数多くの授業や企業訪問、インターン等を通して視野を広げ、自分の適性を深く省みることができたおかげで、少なくとも現時点においては納得感のある転職が実現できたと感じています。

 

 

最後に・・・

 

今後「万華鏡型」のキャリアを歩んでいく上で、心の拠り所となるのが「濃い1年」を共に過ごした同級生達です。HKU MBAが約60名という小規模なクラス構成であったからこそ、大小差はあれども全員と「繋がり」を形成することができました。各々次のライフステージに向けて歩み始めているところですが、同級生の一人ひとりが、不確かな道筋を照らしてくれるロールモデルになると確信しています。

 

HKU_福田_2019年11月11日デモが激化する中開催された卒業式

2019年11月11日デモが激化する中開催された卒業式

 

 

<参考>留学費用

 

<留学費用>

 

<留学資金工面>

※ビジネススクールより奨学金(Merit-Based Scholarship)

※在学当時の留学費用概算、為替は2019年12月現在のものを使用

 

 

 

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