【MBA留学体験記】香港中文大学(CUHK) 堀尾 祐介<2017年入学>

 

プロフィール

 

名前 :    堀尾 祐介 Horio Yusuke

入学時年齢 : 32歳

入学前学歴 : 同志社大学商学部 (専攻 : 財務会計2007年3月卒業)

職歴 :    (現職)日系製薬企業 事業開発マネージャー (中国勤務)

       (MBA 前)日系製薬企業 事業企画担当 (日本勤務) <MBA前:勤務年数約10年>

留学方法 :  私費、単身

海外経験 :   (MBA 前) なし

 

目指す将来像に最もフィットしたMBAプログラム(選んだ理由)

 

もともと中国や東南アジア諸国の活気ある人々や市場のポテンシャルに魅力を感じており、将来的にそれらの地域において医薬品のマーケットアクセス向上に貢献する仕事をしたいという目標を持っていました。

そのため、MBAを取得するのであれば、ネットワーク構築や市場理解の観点から、アジアで学ぶという選択肢が自分には最も適していると考えアジアMBAを選びました。さらに、中国へのゲートウェイというポジションでありながら西洋文化も有しており、東南アジア諸国ともアクセスが良いことから、香港というロケーションに魅力を感じました。

最終的に、アジア最古のMBAプログラムであり広範なアラムナイネットワークの活用が期待できることやアントレプレナー育成に定評のあるプログラムが充実していることなどから、自身の目指している将来像を考慮した際に最もフィットするMBAプログラムであると考え、香港中文大学(CUHK)を選びました。

 

Alumniとのネットワークイベントも充実しています

 

 

海外経験ゼロからのMBA受験。苦労したスコアメイク(合格/入学まで)

 

海外留学の経験がなく、受験を決意した頃から合格まで約20ヶ月間の準備期間を要しましたが、最も苦労したことはTOEFLとGMATのスコアメイクでした。特に、GMATは学習量が得点に比例せず、受験回数の制限もあったことからも非常にプレッシャーのかかる試験でした。17年2月に2ndラウンドで条件付オファーをいただいた後も、GMATを受験し続け、結局4月末までずっとGMATの学習を継続していました。

さらに、私費での留学を目指していたため、上司や同僚にも受験のことを話すことができず、時間の確保にも苦労しました。GMAT受験直前に、非常に重要な顧客との交渉会議が入り学習時間を捻出できなかったり、業務との調整がつかずインタビューの時間を変更してもらったりすることもありました。準備期間を通じて、平日の早朝夜間、また週末もカフェで一日中学習をする生活が続き、年末年始もほぼ全て受験準備に時間を費やしました。にもかかわらずテストでは思うような良い結果が出ず「高い予備校代を払い、プライベートも全て犠牲にして、一人で何をやっているのだろうか」と考えることもありましたが、諦めなければいずれ道は開けるという過去の合格者の方々の体験談を信じ学習を継続しました。

 

全体スケジュール

 

CUHKのカリキュラムは、約3ヶ月間を1タームとして、3タームとサマータームで構成されており、最短で香港での1年間の学習で卒業が可能です。香港での1年間の学習の後は、卒業して就職、交換留学、デュアルディグリーの3つのオプションがあり、個人のキャリアプランに応じて柔軟な選択が可能です。

 

<取得コース数>

各タームで取得したコース数

 

<忙しさ度合>

各ターム毎費やした時間を%で表示

 

 

印象に残っている授業

 

1) Management of Innovation and Technology

CUHKと隣接するインキュベーションセンター、Hong Kong Science and Technology Parks Corporation (HKSTP)との協業で行なわれている授業で、主に香港のスタートアップエコシステムについて学ぶ授業です。この授業はキャンパスのみにとどまらず、HKSTPを訪問しそこで実際のスタートアップ企業がどのように働いているか知ることから始まります。講義では、イノベーションをどのようにビジネスに昇華させるかなどテクノロジー関連のトピックを中心に、香港での具体例を元に学んでいきます。印象深い点として、毎回の講義の中で、様々なジャンルのスタートアップからゲストスピーカーが招聘され、実際の起業家たちと直接議論することができます。香港のスタートアップ事情を把握し、現地でのネットワークを構築するには最適の授業でしょう。

HKSTP (Hong Kong Science and Technology Park)を訪問

 

 

2) Business Field Study (Zambia study trip)

CUHKではテーマ毎に8つのエリア (アメリカ、ザンビア、シンガポール、タイ、台湾、中国、チリ、ドイツ)でのフィールドスタディが用意されており、最大2つまで参加することができます。私が参加した約1週間のザンビアトリップでは”Sustainable development to the local community”をテーマに、主に現地農村での社会貢献活動と、現地投資家に対してザンビアで実行可能なビジネスプランの提案を行いました。

旅の道中は各チーム1台のジープを貸し切り、まずアンゴラ国境沿いの農村まで2日間をかけて移動し、移動の車中で最終日のプレゼンテーションを作成するというものでした。現地ドライバーさえ迷子になるほどの辺境にある農村では、NGOと協業で井戸掘りやトイレ作り、各家庭の健康調査を行いました。また、ビジネスプラン作成については、普段経験できないような環境 (電気・インターネットなし、ワニのいる湖の前でのテント宿泊など) の中で、多国籍メンバーとアイディアをすり合わせる作業は非常にストレスのかかるものでしたが、BOPビジネス(※)のインパクトとその困難さの両方を、身をもって体感することのできる大変貴重な機会でした。

※BOPビジネス:BOPはBase of the Economic Pyramidの略で、低所得層を対象とする国際的な事業活動を指す。

ザンビアにて井戸掘り

 

Japan Nightを企画・開催(クラスメイトとの思い出)

 

本ターム開始前に、SPLASH Project(※)という香港の小学校に遊具場を建設するプロジェクトがあるのですが、その打ち上げとして、寮内で日本人生徒が中心になって、Japan Nightというイベントを開催しました。日本酒や日本の料理を振る舞い、全フルタイム学生のうち約6割弱が参加、お酒の力もあって一気に懇親を深めることができました。驚いたことに、海外の生徒、特にアジア圏の学生の中には日本酒の銘柄などにも詳しい学生がおり、日本文化への関心の高さを知る初めての機会となりました。

※SPLASH Project:多国籍かつ馴染みのない環境下で、プロジェクトを計画し実行するという共同作業を通し、チームワークとリーダーシップスキルを磨く研修プログラム。

 

 

ヘルスケアクラブを自ら創設(自信を得ることができたエピソード)

 

在学中の自分のチャレンジの一つとして、現地の医療環境の理解とネットワーク構築を目的としたヘルスケアクラブを創設しました。知り合いもいない状況の中、製薬・医療機器メーカー、医薬品卸、医療系スタートアップなど約20社程度の現地ヘルスケア企業へコンタクトを取り、各社のビジネスについてインタビューさせてほしいと依頼しました。すぐに結果は出ませんでしたが、アラムナイネットワークも活用し精力的に活動を継続した結果、欧米系製薬会社2社、ヘルステック企業1社と共同でワークショップを開催することができました。

また、欧州系製薬会社とは本学とコンサルティング契約を締結することに成功し、実際に企業に参画してコンサルティングプロジェクトを遂行することができました。さらに、一年間活動を継続した結果、企業側から逆にコンタクトを受けるようになり、中国の製薬会社から日系製薬会社とのライセンス契約や日本市場展開の相談を受けたり(実際に交渉会議のアレンジに成功)、香港のみならず、アメリカ、シンガポールのスタートアップやヘルスケアコンサルからリクルートの依頼を受けたりするようにもなりました。

言語の壁に加えコネクションがゼロからの活動でしたが、結果的として業務に直結する実用的なネットワークを自分の活動で構築できたことは現在の自信となっています。

Pfizer Hong Kong とのワークショップを企画

 

 

クラスメートの印象に残っている一言

 

「日本人はどうして貯金するの?」

中国人の女性クラスメートから言われた言葉ですが、増える見込みがないにも関わらず貯金をし続けることが理解できないとのこと。聞くと、彼女は自分の仕事とは別に、株式投資で成功した資金を元に中国で商店を3店舗購入、経営し、その収入でMBAの学費や生活費を工面しているとのことでした。自分の当たり前の感覚が海外では当たり前ではないことに気づかされた一言でした。

授業風景

 

 

アントレ育成に強い! CUHK

 

Entrepreneurship and Innovationの専攻を有しており、特にアントレ志向の高い学生にとって充実した環境が整っています。

一例として、Wilton Chau教授は、PAVC(Pan-Asia Venture Development Platform)というベンチャープラットフォームのチェアマンであり、彼の授業ではアジア各地から集まってきた投資家に対して、現地のスタートアップに参画しピッチを行うことが義務付けられています。実際のところ、Wiltonの持つネットワークを期待してCUHKに入学してくる学生も多いです。

また、ビジネススクール内には、Centre for Entrepreneurshipという起業家育成のための専門機関があり、スクールとして起業家を支援する体制が整っています。

 

 

香港随一の中国語学習環境

 

CUHKでは中国語学習の機会が非常に充実しています。Yale-China Chinese Language Centreという外国人の生徒に中国語を教える専門の施設があり、MBAプログラムの生徒でも受講できます。プレターム時は無料で1ヶ月の授業を受講できますし、希望すればより長い期間のコースも受講できます。また、本ターム開始後もMBAオフィスからのサポートを受け格安で授業を継続できます。

さらに、深圳へ電車一本で行ける立地環境のため、深圳の語学学校まで中国語を学びに行く学生もいます。中国本土への交換留学も充実しており、卒業頃までにHSK6級を取得することも不可能ではありません。

 

 

インターン・フルタイムの就職活動

 

常に就職活動のことは意識していましたので、本ターム開始と同時にヘッドハンターや日本のキャリアエージェントと面談を開始し情報収集を行なっていました。主に、2017年の秋冬期は、サマーインターンをメインで探しており、日本のリクルーター、大学のキャリアセンター、現地のキャリアイベントなどを中心に活用しました。結果的に、香港での就業経験を積みたかったことからクラブ活動でコネができたスタートアップでインターンを行いました。

フルタイムの就職活動については、業種や職種の希望は明確でしたので、香港、中国、シンガポール、日本の地域毎にキャリアエージェントに登録し、自分の希望する条件と合致する案件をメインに応募しました。最終的に、2社目に内定を頂いた企業での職務内容や契約条件が魅力的であったため、私の就職活動は、交換留学前の2018年夏期で終了しました。

 

 

アジアでの仕事に繋がる、活かせる「アジアMBA」

 

アジアMBAは欧米のMBAと比して箔がつくものではないと思いますし、実際に交換留学で経験したアメリカの大学の授業と比べると、一部の授業の質については改善できる余地があると思います。ただ、アジアで仕事をしたい、キャリアにアジアの色をつけたいということであれば、アジアMBAはその期待に応えてくれます。

私もCUHKでの経験を通じて、様々なチャレンジができ、最終的に希望していた海外転職も実現することができました。また、CUHKで形成した人脈は卒業後も継続していますし、実際のビジネスに発展したケースも経験しました。これらはCUHKに行ったからこそ得られたものであると確信しています。

 

 

未来のアジアMBA生への応援メッセージ

 

アジアMBAに限定されないと思いますが、受け身で授業に参加しているだけでは得られるものは少ないかもしれません。自身で目標設定をして積極的に行動していくことで、様々なチャンスが生まれてくるものと考えています。

もし、アジアで何かチャレンジしたいことがあるのであれば、アジアMBAは絶好の機会になります。

リスクはあるかもしれませんが、挑戦する価値は絶対にありますので、ぜひチャレンジしてみてください。必ず結果はついてくると信じています。

 

 

<参考>留学費用

 

<留学費用>

 

<留学資金工面>

 

※在学当時の留学費用概算、為替は2019年1月現在のものを使用

 

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