「主要アジアMBA各校新型コロナウイルスへの対応状況」アンケート結果

主要アジアMBA各校新型コロナウィルスへの対応状況

 

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大に伴い、留学中またはこれから留学を予定している方々にも大きな影響が出ています。アジア留学協会では、アジアMBA各校の新型コロナウイルスへの対応状況を調査することで、留学検討者の過度な不安を払拭し、状況を正確に把握し受験準備に臨めるよう主要アジアMBAトップスクール12校に対してアンケート調査を実施しました。

 

目次

調査サマリー

12校中3校が新学期(2020年度)の開始時期を延期

多くの学校は通常通り新学期をスタートさせる中、シンガポール国立大学、香港大学、CEIBSの3校は開始時期を延期。中でも、シンガポール国立大学は2020年度プログラム開始を5カ月延ばし、2021年1月スタートとしています。CEIBSは10月中旬にスタートを延期していますが、その前の8月中旬~10月中旬はNon-Creditの授業やアクティビティを実施しており、学生はキャンパス入りし活動を行っています。香港大学は8月初旬から9月中旬へ若干の延期となっています。

 

中国大陸以外、シンガポール・香港・台湾の学校は留学生もキャンパス入り

中国大陸では新型コロナウイルス(COVID-19)に係る入国制限が行われており、海外にいる留学生が入国できない状態です(※)。このような状況下で、CEIBSでは海外にいる留学生はチューリッヒ(スイス)キャンパス入りし、上海キャンパスとデュアルキャンパスでオフラインの授業を行っています。

(※)2020年9月末時点

 

授業はハイブリッド方式、なるべく早く通常の対面方式への移行を目指す

全ての学校でオンライン/オフラインのハイブリッド方式で授業を開始しています。留学生含め学生がキャンパス入りできている学校でも、クラス内の人数制限・マスク着用など安全対策を講じ、来校を希望しない学生にはオンライン授業の参加を認めるなど、現時点ではオンライン/オフラインを併用して授業を運営しています。

しかし多くの学校では状況が改善し、全ての学生がキャンパス入りし、従来と同じ環境で授業が受けられるようになり次第、通常の対面方式への移行を目指しています。

 

来年度の出願・選考に大きな影響はなし。フレキシブルな出願対応も

12校中7校が来年度の出願・選考について新型コロナウイルス(COVID-19) による「影響なし」と回答しています。一部、CEIBS、香港科技大学では、例年より柔軟な出願対応を行うと表明しており、テストスコアが揃っていない状態での出願、代替・追加のAdmission Testの受付など、ケースバイケースで認められる可能性があります。また、シンガポール経営大学では語学力の評価は、Admission Testのスコアとインタビューを重視するとしています。

 

各学校回答概要一覧

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主要アジアMBA各校新型コロナウイルスへの対応状況_各学校回答概要一覧

 

 

各学校アンケート回答詳細

清華大学

Q1.新学期の開始について何か変更はありますか?

変更なし。予定通り2020年入学の新学期を始めています。

 

Q2.留学生はキャンパスに来れていますか?

中国外交部が3月28日に発表した通達により、現在海外にいる留学生は中国大陸への入国ができません。既に中国国内にいる留学生は、ビザを変更してキャンパスに来ることができますが、本プログラムではこちらに該当する留学生がいません。

8月初旬には韓国人留学生に新しい学生ビザが発給されるようになりましたが、本プログラムでは今年度該当する韓国人留学生はいません(一部の学生は来年へ延期)。

 

Q3.授業はどのような形式で行っていますか?

オンライン/オフラインのハイブリッド方式

 

Q4.新型コロナウイルスによる来年度(2021年入学)の出願/選考への影響は何かありますか?

出願については、影響はあるかもしれません。しかしワクチンの提供が開始されれば、個人的には出願に大きな影響はないと考えています。

選考については、清華大学ではプログラムの質とレベルを維持するため、これまでと同様の選考を行います。

 

北京大学

Q1.新学期の開始について何か変更はありますか?

変更なし

 

Q2.留学生はキャンパスに来れていますか?

現在中国国内に滞在している学生のみキャンパスに来ることが可能です。

 

Q3.授業はどのような形式で行っていますか?

オンライン/オフラインのハイブリッド方式

 

Q4.新型コロナウイルスによる来年度(2021年入学)の出願/選考への影響は何かありますか?

現在2021年入学の募集が始まったばかりですが、今のところ昨年の同時期と違いはありません。一方で2020年入学予定だった学生の中に、2021年に入学を延期した人もいます。

 

長江商学院(CKGSB)

Q1.新学期の開始について何か変更はありますか?

CKGSB MBAプログラムは、例年通り10月に開始します。

2020年からgeneral management core coursesとは別に、“In-class incubator”という創造的な思考や起業家精神を育成するための共通カリキュラムを導入しました。

 

Q2.留学生はキャンパスに来れていますか?

現時点では、留学生ビザ発給についての明確な指針が出ていません。CKGSBではビザに関する情報を前もって収集し、ビザがオープンになり次第申請を行います。

 

Q3.授業はどのような形式で行っていますか?

CKGSBにとって、対面授業が常に第一の選択肢です。しかしながら、先行きの見通しが立たないため、全学生がキャンパスに来て対面授業が受けられるようになるまでは、オンラインとオフライン両方を採用したハイブリット方式での授業を提供します。

・授業開始時に北京に来ることができる学生については、北京キャンパスで対面授業を行います。
・その他の学生については、授業はZOOMプラットフォームのライブストリーミングで配信され、その場で教授やクラスメートとの交流を行うことができます。さらに、復習のために録画された授業動画にいつでもアクセスすることが可能です。

CKGSBでは留学生の入国に関する中国の規制を遵守し、最新の情報を学生に提供しています。

 

Q4.新型コロナウイルスによる来年度(2021年入学)の出願/選考への影響は何かありますか?

新型コロナウイルスによる、候補者の選考への影響はありません。

 

中欧国際工商学院(CEIBS)

Q1.新学期の開始について何か変更はありますか?

プログラム開始を2020年8月12日から10月12日に延期しています。しかし、8月12日から10月12日の間にNon-creditの活動を前もって実施することで、卒業時期は変更せず、授業の質を担保したカリキュラムの再編成を行っています。

 

Q2.留学生はキャンパスに来れていますか?

海外にいる留学生はCEIBSのスイスのチューリッヒキャンパスにて、オフラインの授業を受けています。

 

Q3.授業はどのような形式で行っていますか?

オンライン/オフラインのハイブリッド方式

CEIBSは上海とチューリッヒでデュアルキャンパスのオフライン学習を行っています。同時にオンラインツールを使用し、2つのキャンパスで同期した授業と学生間のコミュニケーションを行っています。

 

Q4.新型コロナウイルスによる来年度(2021年入学)の出願/選考への影響は何かありますか?

多くのトップスクールと同様に、CEIBSでは今年の新入生は希望すれば、2021年に入学に延期することを認めています。よって来年度の選考はより競争率が高くなりますが、入学要件を満たす受験生にとっては十分な枠が残っています。

今回のパンデミックから得た教訓の一つは、出願プロセスに柔軟性を持たせることです。CEIBSでは、GMBATとGREの世界のテストセンターの状況を定期的にチェックし、迅速な対応を行っています。出願〆切前または〆切時にテストスコアを提出できない状態での出願も、場合によっては認めています。

 

復旦大学

Q1.新学期の開始について何か変更はありますか?

新学期開始について大きな変更はありません。授業はオンラインとオフラインのハイブリット方式で行っています。

 

Q2.留学生はキャンパスに来れていますか?

中国と他国間の入国規制が緩和されれば、留学生もキャンパスに来ることができます。

 

Q3.授業はどのような形式で行っていますか?

オンライン/オフラインのハイブリッド方式

 

Q4.新型コロナウイルスによる来年度(2021年入学)の出願/選考への影響は何かありますか?

現在のところ、出願と選考について大きな変更はありません。海外からの応募者はオンラインで出願フォームを提出後、オフラインまたはオンラインのどちらかの方式でインタビューを受けるか選択可能です。復旦大学MBAは、業界・エリアなど多様なバックグラウンドを持つ候補者を優遇します。

 

国立台湾大学(GMBA)

Q1.新学期の開始について何か変更はありますか?

大きな変更はありません。新学期開始時期に変更はなく、授業は一部はオンライン、一部なオフラインで行っています。校内に入る際は、マスク着用など前学期同様の管理を行っています。

 

Q2.留学生はキャンパスに来れていますか?

留学生は、“Degree students”と“Exchange students”の2つに分けられます。

“Degree students”は、台湾への入国が早期に許可されている国もあれば、遅れている国もあります。隔離ホテルは国立台湾大学による管理が行き届きやすいように手配がされますが、費用は全額自己負担となります。費用面で問題を抱える学生については、経済的援助を受けられる場合があります。

“Exchange students”は別となり、現時点で台湾への入国は許可されていません。オンラインでの受講や、期間を来学期または来年へ延期することが可能です。

 

Q3.授業はどのような形式で行っていますか?

授業スタイルは、それぞれ異なります。オンラインとオフラインを同時に行う場合や、学生を半分にしてオフライン授業をローテーションで行う場合もあります。大人数での講義の場合国立台湾大学では完全にオンラインにて授業を行う場合もありますが、GMBAではこのスタイルは行っていません。また学生の要望に応じて、オンライン形式の授業では臨時のティーチングアシスタントを配置しています。

 

Q4.新型コロナウイルスによる来年度(2021年入学)の出願/選考への影響は何かありますか?

出願プロセスは変更ありません。昨年と同様のスケジュール、提出書類・要件、クラスサイズ等になります。

しかしながら、入学手続きについては柔軟に対応しています。入学許可を受け取ったのち、例年であれば来校し必要な手続きを行ってから、学生証を取得しなければなりません。今年からは、入国規制や検疫制限によりオンラインのみでしか授業を受けられない学生のために、オンライン登録の対応を行っています。

 

香港大学(HKU)

Q1.新学期の開始について何か変更はありますか?

2020年度入学の新学期開始は、本来は8月初旬からですが、9月中旬に若干の延期をしています。

 

Q2.留学生はキャンパスに来れていますか?

来れています

 

Q3.授業はどのような形式で行っていますか?

現時点ではハイブリッド方式で授業を行っていますが、まもなく通常の対面式スタイルに戻れると予想しています。

 

Q4.新型コロナウイルスによる来年度(2021年入学)の出願/選考への影響は何かありますか?

回答には時期尚早

 

香港科技大学(HKUST)

Q1.新学期の開始について何か変更はありますか?

コロナウイルスの影響により、オリエンテーションはオンラインにて実施しました。香港ではパンデミックの状況が徐々に改善されてきているため、2020年9月下旬よりハイブリッドモード(対面+オンライン)の提供を開始します。

 

Q2.留学生はキャンパスに来れていますか?

約85~90%のフルタイムの新入生はキャンパスに来ています。

 

Q3.授業はどのような形式で行っていますか?

オンライン/オフラインのハイブリッド方式

 

Q4.新型コロナウイルスによる来年度(2021年入学)の出願/選考への影響は何かありますか?

新型コロナウイルスの影響により、2021年入学の学生募集について下記特別な措置を実施しています。
– 代替/追加のadmission testの受付
– オンラインインタビューの実施
– 出願書類の提出に関して柔軟性を持たせる

 

香港中文大学(CUHK)

Q1.新学期の開始について何か変更はありますか?

現在バーチャルによるクラスが行われていること以外、大きな変更はありません。

 

Q2.留学生はキャンパスに来れていますか?

一部の学生は香港へ渡航してきており、14日間の検疫隔離期間後キャンパス内に入っています。

 

Q3.授業はどのような形式で行っていますか?

今はオンラインのみですが、10月にはハイブリッド方式に切り替わります。

 

Q4.新型コロナウイルスによる来年度(2021年入学)の出願/選考への影響は何かありますか?

現時点では、来年にはオンライン方式を継続する予定はありません。状況が変化する可能性はありますが、授業や対面での活動はまもなく通常の状態に戻ると予想しています。

 

シンガポール国立大学(NUS)

Q1.新学期の開始について何か変更はありますか?

変更あり。2020年度入学(フルタイム/パートタイム)の新学期開始を2020年8月から2021年1月に延期。

 

Q2.留学生はキャンパスに来れていますか?

既存の学生については、ソーシャルディスタンスの確保、クラスの定員制限、マスク着用の義務化などの安全対策を講じ、学内での授業を再開しています。

海外からの新入生もキャンパスに来れています。シンガポールへの入国は、入国許可証が必要となります。出国国により学生はシンガポール到着後7~14日の「Stay Home Notice」が義務付けられます。

 

Q3.授業はどのような形式で行っていますか?

NUS MBA(フルタイム&パートタイム)では、ハイブリッド方式にて授業を行っています。

物理的には全てのクラスサイズの上限を50名とし、ソーシャルディスタンスの確保、マスク着用の義務化など安全対策を講じています。キャンパスに来られない、もしくは来ることを希望しない学生はオンラインで授業に参加することが可能です。

 

Q4.新型コロナウイルスによる来年度(2021年入学)の出願/選考への影響は何かありますか?

いいえ、来年度の出願・選考への影響はありません。本校の入学プロセスと必要書類・要件も変更はありません。

今年(2020年入学者)は、パンデミックによるテストセンター閉鎖の影響を受けた受験者が多かったため、出願書類を準備するための時間を確保するために出願締切日を延長しました。一方で、今年のフルタイム/パートタイム MBAの両方の形式で出願者は増加傾向でした。

 

シンガポール経営大学(SMU)

Q1.新学期の開始について何か変更はありますか?

次の新年度の開始時期の変更はなし。

 

Q2.留学生はキャンパスに来れていますか?

はい。検疫など必要な予防措置を行ったうえで、来ることができます。

 

Q3.授業はどのような形式で行っていますか?

SMUでは新学期開始までまだ4カ月あるため、現時点では正確なコメントができません。今現在の在校生はオンライン/オフラインのハイブリッド方式で授業を行っていますが、完全キャンパス内での授業ができるタイミングになれば対面式のみに移行する予定です。

 

Q4.新型コロナウイルスによる来年度(2021年入学)の出願/選考への影響は何かありますか?

語学試験センターの閉鎖を除き、出願と選考に大きな影響はありません。語学力の評価については、Admission testのスコアとインタビューをより重要視しています。

 

南洋理工大学(NTU)

Q1.新学期の開始について何か変更はありますか?

変更なし。Nanyang Business SchoolはシンガポールのMBAで唯一新学期開始を遅らせることなく、2020年7月からスタートしています。

 

Q2.留学生はキャンパスに来れていますか?

はい。大部分の留学生がこの2週間でシンガポールに到着しています。最初のグループは本日キャンパス入りをし、キャンパス内の寮に入居しました。次のグループは2週間後にキャンパス入りする予定です。

 

Q3.授業はどのような形式で行っていますか?

最初の学期はオンラインで始めていますが、すぐにオフラインに移行予定です。

 

Q4.新型コロナウイルスによる来年度(2021年入学)の出願/選考への影響は何かありますか?

Nanyang MBAの出願プロセスは昨年と全く同様です。

 

 

調査概要

調査対象:中国大陸・香港・シンガポール・台湾の主要MBA12校

  • 中国大陸:清華大学、北京大学、長江商学院、CEIBS、復旦大学
  • 台湾:国立台湾大学
  • 香港:香港大学、香港科技大学、香港中文大学
  • シンガポール:シンガポール国立大学、シンガポール経営大学、南洋理工大学

調査方法:各校MBAオフィスへダイレクトアンケート送付
調査期間:2020年9月8日~9月20日
※シンガポール経営大学のFull-Time MBAプログラムは1月開始

 

 

2021年度入学に向けての出願対策

多くの学校が来年度の出願・選考について新型コロナウイルス(COVID-19) による「影響なし」と回答していますが、2020年度入学予定の学生で1年入学を延期(Defer)している人が出ているため、その影響により例年より競争率が高くなる可能性があります。しかし、入学要件を満たす学生にとっては十分枠が残っていると回答している学校もあり、影響度合いまではわかりません。

このような状況下における出願対策としては、例年以上にアドミッションとの密なコミュニケーションが重要となってきます。新型コロナウイルスへの各学校の対応も時々刻々と変化しています。学校側もケースバイケースでのフレキシブルな出願対応を行う、と表明しているところもあります。そのためには、まず志望校を早めに固め、オンラインのInfo Sessionなど活用し最新情報を入手。その後は、アドミッションとの直接のコミュニケーションを行い、合格への最短経路を見出してください。

 

 

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