第1回目の「Vol.1 概要&Licensing Examination for Securities & Future Intermediaries」、第2回目の「CFA&CFA institute Investment Foundations Program」に続き、第3回目は「CIPM, CAIA&FRM」について、香港金融業界で10年のキャリアをお持ちの猪原英治さんに引き続き解説して頂きます。
プロフィール
猪原英治(いのはらえいじ)
香港在住11年。香港中文大学2009年卒(MBA)。日系大手銀行の香港現地法人、米系金融ベンダーを経て現在は米系プライベートバンク勤務。2018年CFA取得。香港在住の日本人の方を対象に、統計の基礎をエクセルを使い学んでいくワークショップ“Learn Statistics” を開催中。Twitter:@eiji_inohara
Certificate in Investment Performance Measurement (CIPM)
この試験もCFA Instituteが実施している試験であり、香港ではアセットマネジメント業界に勤務する方を中心に取得されている方が多くいます。しかし、日本では全くといっていいくらい知名度がありません。
この試験は一言で表すとアセットマネジメントの投資パフォーマンス測定を行う知識を証明するためのものです。投資パフォーマンスの測定はCFAのレベル3の内容にも含まれますが、より専門的な詳しい内容となっています。
CIPM試験概要
この試験はレベル1とレベル2に分かれています。レベル1とレベル2を順番に受ける必要があり、それぞれのレベルの試験内容は以下のようになっています。
試験は各レベルとも3月と9月に実施されます。申し込み期限や試験費用などはCFA instituteのページに詳しく説明がありますので参照してください。
免除規定
この試験の大きな特徴として、CFAのレベル3に合格した人は、CIPMのレベル1の受験を免除されることです。そのため、いきなりレベル2から受験することが可能です。この免除規定があるため、CFAの保有している人が多い香港では、さらなるステップアップとして、CIPMを受験する人が多いのだと思います。
また、レベル2を合格しただけではCIPMの証明書をもらえるわけではありません。CFA同様、投資に関係する実務経験4年を満たしていることを申告し、年会費を払って会員になることが必要です。
勉強方法
CFA Institute Investment Foundations Programと同じように、もしウェブ版テキストではなく、紙で印刷されたものを手元において勉強したい場合、米国のAmazonでオーダーすることが可能です。Volume1とVolume2の2冊あります。必ず出版日を確認して最新のものであることを確認してから注文してください。
この資格は試験内容が特定分野に絞られているため、アセットマネジメント業界に強い就職希望がある方にとっては実務的な内容が勉強できるために非常に価値があると思います。
Chartered Alternative Investment Analyst (CAIA)
これより紹介する最後の2つの証明書についてはCFA同様に香港の金融業界では知名度もあり人気もある証明書ですが、私は取得をしておらず、また勉強したこともありません。そのために簡単な説明に限定させていただきます。まだ香港にいる日本人で取得されている方は非常に少ないと思われますので、もし勉強方法などを書いて頂ける方がおりましたらぜひご紹介ください。
CAIAはオルタナティブ投資の知識に関する証明書となります。オルタナティブ投資は主にヘッジファンド、PEファンドで用いられ、投資対象は不動産、コモディティ、デリバティブを含んだ仕組商品など多岐に渡ります。CFAでもオルタナティブ投資の内容はありますが、そこまで深くは解説されません。CAIAはオルタナティブ投資の分野では最も難しく、かつ最も評価の高い資格となります。
試験概要
資格試験はCAIA Associationによって実施され、レベルは1と2に分かれています。試験は年二回、3月と11月に実施されるようです。また試験はCFAのような指定会場ではなく、ピアソンVUEでのPCテストセンターで受ける決まりになっています。試験の詳しい内容などは以下ページをご参照ください。
CAIA > The CAIA Charter
実施している協会は異なりますが、CAIAとCFAは協力関係にあるようです。以下のページを読む限り、一定の条件を満たした上であれば、CFAを取得している場合はレベル1が免除になると書かれています。ただ、この条件についてはかならずご自身でCAIAに確認してください。
カプランでも対策講座が開かれています。
Kaplan – CAIA
Financial Risk Manager (FRM)
最後はFRMです。FRMはリスク管理の知識に関する証明書となります。実施しているのはGlobal Association of Risk Professionals (GARP)であり、FRMは、銀行、資産運用会社、政府、事業会社、その他金融機関でリスク管理をする仕事に有益な知識を得ることができます。FRM の資格を取得する為には Part I 及び Part II の2つの試験に合格し、2年以上のリスク管理の職務経験を証明する必要です。
CAIAとは違い、CFAとの協力関係は現時点では確認できませんでした。試験についての詳しい内容は、以下ページをご参照ください。
Financial Risk Manager > Overview
カプランでも対策講座が開かれています。
Kaplan – FRM
まとめ
3つの記事にわたり、5つの証明書についてご説明してきました。
- Licensing Examination for Securities & Future Intermediaries
- Chartered Financial Analyst (CFA)
- CFA institute Investment Foundations Program
- Certificate in Investment Performance Measurement (CIPM)
- Chartered Alternative Investment Analyst (CAIA)
- Financial Risk Manager (FRM)
「証明書とキャリアパス」を図式化したものを再掲します。vol.1 概要部分でもお伝えしたのですが、ご自身のキャリアパスに必要な証明書を確認し、キャリアに役立つ証明書の取得を目指し、勉強を頑張ってください。
※免責事項
本記事に記載の内容は全て筆者の個人的見解によるものであり、所属組織とは無関係です。また記載の内容の正確性を保証することはいたしかねます。証明書の取得を検討する場合は必ずご自身で確認、問い合わせを行ってください。