プロフィール
砂田 涼平 (すなだ りょうへい)
香港科技大学(HKUST)フルタイムMBA Intake2022
- 早稲田大学商学部卒業
- 2013年より三井住友海上火災保険株式会社に入社。人事、法人営業、タイ駐在を経て退職、2022年8月よりHKUSTへ私費留学
- HKUST MBA Intake 2022、ジャパンクラブ代表
- HKUSTの交換留学制度を利用し、スペインのIEへ3ヶ月留学
はじめに
MBAが終わり就職を控えた今、自分自身のMBAの思い出をここに残し、MBAを検討している人たち参考になればと思い、この度寄稿するに至りました。書き始めてみると長くなってしまったので、前編と後編に分けて執筆することにしました。前編ではHKUSTを選んだ理由、香港での生活やプログラムの概略などを紹介し、後編では私の実際のMBA生活を紹介していきたいと思います。
私自身もMBAに興味を持った時、スクール選びの時、そしてMBA受験に挫けそうになった時は先輩方の体験記を読み、乗り越えてきました。この体験談が少しでも多くの方のお役に立てれば幸いです。
MBA先としてアジア、HKUSTを選んだ理由
MBA留学を検討した当時はタイに駐在していたのですが、社内での今後の目標とするキャリアが思い描けず、自分自身の人生に停滞感を持っていました。MBAという選択肢は長らく頭にあったものの、受験および留学コストや受験準備に費やす時間の観点から、私費での留学は難しいと思っていました。そんな時にコロナが到来しました。当時のタイ駐在では、平日の夜は接待、土日は両日ともゴルフという自分の時間を持つことが難しい環境にいましたが、コロナにより環境は一変、最低限の業務以外は自宅で過ごすという状況になりました。これを機に、今まで興味はあったものの諦めていたMBA留学を決意するに至りました。
アジアを選んだ理由は、キャリア展望とプログラム期間及びにコストの観点で、アジアを選択していました。自分自身がタイに駐在していたことや学生時代にアジアを中心に過ごしていたことから、アジア特有の熱気ある活況感に惹かれ、自然とアジアでのキャリア展望を描いていました。また欧米のスクールと比べた際に、2年未満1年以上のプログラムでありながらも比較的に低コストで留学できることも決め手となり、アジアのスクールを選ぶに至りました。
HKUST自体はアジアでトップクラスのMBAであることを認識していたものの、2019年に起きた香港のデモもあり、シンガポールの学校を中心に検討していました。そんな時にアゴス夏祭りに参加し、何気なく覗いてみたHKUSTのブースで知り合った在校生と卒業生の方々に魅力を感じ、HKUSTへの興味を持ちました。HKUSTは日本人卒業生のネットワークが強く、様々な面で卒業生の力を借りられる(実際にMBA受験や就職活動では非常にお世話になりました)点がとても頼もしく感じ、また16ヶ月という期間に凝縮された充実したプログラムに魅力を感じ、HKUSTが第一志望となり進学に至りました。実際に入学すると、日本人の同級生は私を含めて7名おり、日本人同級生内でも強いネットワークを構築することができました。
生活について
ここでは簡単にHKUSTでの生活について紹介します。
現在HKUSTではMBA向けの寮はなく、各自で住居を探す形になります。ここら辺の詳細はクラスメイトの仲村さんが【MBA留学体験記】に書いてくれているので、ご参照ください。
私は韓国人のクラスメイトと同居することとなり、キャンパス近くの物件に住んでいました。彼とはクラスメイトを呼んでパーティを開いたり、香港内や交換留学先で旅行をしたりと、MBA期間の多くを一緒に過ごしました。ファイナンスバックグラウンドを持ち非常に優秀な彼と比べ、自分の至らなさに焦りを感じたことも多々ありましたが、困った時には助けてくれたりアドバイスをくれたり、この悪友無しではMBAを乗り切ることはできませんでした。
またHKUSTはキャンパスのファシリティが充実しており、トレーニング室や50mプールなどの各種スポーツ場、たくさんの食堂やレストラン、そして自宅よりも自習で過ごした時間が長いのではないかと思うとても大きな図書館(外の景色も最高!)、留学環境として最高でした。
食事についても困ることはなく、香港には和洋中全てがあります。日々の食事は、授業の日は学内のレストランや食堂で食事を済ませたりしていました。また家の近所に手頃な価格でしゃぶしゃぶ食べ放題の店があったので、筋トレをした日はしゃぶしゃぶで腹がはち切れるほどタンパク質を補給していました。またマカオが近いのでカジノに行く機会もあったのですが、生活費まで費やして負けてしまった日には100円程度で買えるチキンラーメンで飢えを凌いで生活していました。
プログラム紹介
ここでは上記に述べた、16ヶ月のプログラム及びに実際の体験についてお話ししたいと思います。HKUSTは単位取得さえ終えればいつでも卒業できるので、一部の学生は12ヶ月以内で単位を取り終えて卒業をしていく人もいますが、以下に典型的な16ヶ月のスケジュールを紹介します。
プレターム
プレタームでは、単位になる基礎会計、基礎プログラミング、基礎統計の3科目があります。それ以外に、単位にはなりませんが、中国語を習得したい人向けにマンダリンの講義や、オーシャンパークのケースコンペがあります。オーシャンパークとは香港にある遊園地で、ディズニーランドなどの競合がいる中でオーシャンパークがどのように勝ち残っていくのかをグループでプレゼンするイベントになります。初めてのグループワーク、初めてのクラスメイトとの共同作業で、手探りながらこなしていきます。最初のイベントなので皆張り切っており、グループ間でバチバチと火花を散らして戦います。また現地視察という名目で、実際に皆でオーシャンパークを訪れ、遊園地で遊んだりします。
秋学期①②
ここから本格的な授業が始まります。またクラス代表(学級委員長)やクラブの立ち上げが行われ、選挙方式で決まります。
また12月に、HKUST名物のインターナルケースコンペが開かれます。単位にはならないのですが有志でグループを作り、与えられたケースに対するソリューションをプレゼン形式で競います。上位入賞者には、学校からの補助金(HKD 20,000)が与えられ、海外の他のスクール主催のケースコンペへの参加権を得られます。私は幸いにも入賞でき、海外のケースコンペに参加してきました。
冬休み
ようやく秋学期が終わり、3週間ほどの休みに入ります。各自故郷へ帰省したり、旅行をしたり、久しぶりにまとまった時間が得られます。
冬学期
インターナルケースコンペと同じくHKUST名物のEPS(Enhancing Professional Skills)という選択授業が開かれます。このイベントは授業なので単位が得られ、1週間という短い期間で、ケースに対するソリューションをプレゼン形式で競います。
春学期①②
ようやく授業も落ち着き始め、インターンを開始する学生が増えてきます。また学校主催のシンガポールトレックが開かれたり、学級委員長の遠藤さんが企画したMBATというイベントがありました。MBATについては遠藤さんの【MBA在校生レポート】をご参照ください。また、秋学期①②で紹介した海外のケースコンペもこの時期に開催されるケースが多く、海外のケースコンペに参加するチームは授業やインターンの合間に準備及び渡航します。またこの後に夏休みや交換留学があるため、クラスメイトと過ごせるのはこの時期が実質最後になります。また卒業式は翌年に行われるものの、ガラパーティという卒業イベントが開かれ、皆で飲んで歌って騒ぎまくります。
夏休み、交換留学
夏休みは帰省したり、一部開講されている授業を取ったり、香港でインターンを続けたり、就職活動を行います。HKUSTではインターンの労働時間に応じて単位が付与されるため、インターンを最後に単位を取り終えるクラスメイトもいます。
また夏休みが終わると、一部の学生は交換留学に行きます。交換留学は任意で、香港に残る学生や母国からオンラインで引き続き授業を取るクラスメイトもいます。なお交換留学は一定基準の成績の要件や募集枠があるため、必ずしも全員が行けるわけではありません。主な交換留学先のスクールは12月で授業を終了する先が多く、単位を取り終えればそのまま卒業、単位が残っていれば引き続き年明け以降にHKUSTで単位を取り終える流れになります。
以上、ここまでが前編になります。後編では私の実際のMBAライフの詳細、就職活動などを紹介したいと思います。