今回ご紹介するのは、シンガポール国立大学(NUS) MBA一押しの授業「Entrepreneurship and Innovation」です。卒業生S.Mさんにお話をお伺いしました。
NUS MBA一押しの授業 “Entrepreneurship and Innovation”
◆授業概要
Entrepreneurship and InnovationというクラスはElectiveのクラスで、私が受講したときは3rd Semesterに開講していました。このクラスでは、スタートアップ発の製品・サービスの市場参入に必要なプロセスを学びます。
生徒3~4人でグループを作り、グループ毎に取り組みたい課題とその解決策となるサービス・製品のビジネスプランを立案します。このクラスの教授はシリアルアントレレナーであり、現在はエンジェル投資家を務める実業家なので授業内容がとても実践的な点が魅力だと思います。
◆授業の形式
まず座学ですが、こちら授業全体の1/3程度でした。教授が自身の経験を踏まえて内容の濃いアドバイスや、他のスタートアップの成功・失敗の事例の説明をしてくれるだけでなく、その教授と交流の深いスタートアップのCEOをお招きし彼らの経験や考えを聞く機会にも恵まれました。
残りの授業時間では、講義を踏まえた上でグループごとに次のアクションプランの検討を行ったり、プロジェクトの進捗状況についてのプレゼンテーションとディスカッションを30分程かけて教授と1対1(教授 対 グループ)で行ったりしました。
授業の最終日には、外部から招いたベンチャーキャピタリスト数人に対してプレゼンを行い、教授に加えてこのベンチャーキャピタリストからの評価も授業成績に反映されることになります。
◆学習内容
繰り返しになりますが、生徒3~4人でグループを作り、グループ毎に各自課題に対する解決策とその市場参入に向けたプロセスについて学びます。
市場浸透率や将来的市場展開を考えた上で、最初のターゲットにすべき顧客(イノベーター、アーリーアダプター)としてどのような顧客が適切か仮説と検証を繰り返しながら特定します。その顧客像、市場環境、競合他社の状況等も考慮した上で最適なビジネスプランを立案しました。
◆課題
社内の資産が限られたStartupだからこそ最初にターゲットにする顧客の選定が大事だとの教授の教えの基、グループ毎に想定される顧客30人以上にヒアリングを行うことが一つ目の大きな課題でした。
その後、更にランディングページと呼ばれるユーザーが最初に訪問するWebページを自分たちで作成し、100人以上の顧客データを集めて分析することが次の大きな課題になります。
顧客の生の声を得るために足で稼ぐことは大変ではあったのですが、顧客像は顧客の生の声を聴く過程で想定外の方向に変化していったことを経験したことで、顧客の声に耳を傾けることの重要性を改めて学びました。
◆その他
私がこのクラスを受講した時は、クラスが土曜日の朝9時開始ということもあり思ったより受講者が少なかったのですが、興味ある方は受講されることを強くお勧めします。休日且つ朝早いクラスですが、実業家でもある教授のエネルギーと愛が溢れる講義ですぐにスッキリ目が覚めました。
また、 このクラスを通じて課題解決だけでなく課題発見の難しさ・重要性を学びました。実業においての1st stepである課題を正しく特定するというプロセスを、このEntrepreneurship and Innovationで学ぶことが出来て本当に良かったと思います。
NUS MBAに向いている人とは?
- 授業以外に取り組みたい活動が色々ある方にはNUSをお勧めしたいと思います。
NUSは授業だけ受けているなら比較的余裕をもって生活ができるように思います。私は余裕が出来た時間でクラブ運営、ビジネスコンペや旅行、3か月に亘るインターンシップなどをしていました。
また、上述したEntrepreneurship and Innovationは別ですが、多くのクラスはアカデミック色が出ていて座学が多いように思うので、これまでのキャリアで経営学に触れてきた方というよりは、まだ経営学を座学として学んだこと少ない方にはオススメのコースです。