世界で活躍するデータサイエンティストを目指す
近年、NUS MSBAのようにデータサイエンティスト育成を目的とした大学院を開設する動きが世界中で広まっています。
しかしMBAとは違い、MSBAはどのような授業が行われているかについて日本語での情報は少ないのが現状です。そこで、今回は実際にNUS MSBAプログラムに在籍中のTakaさんに、プログラムの詳細について寄稿頂きました。
MSBAのカリキュラムはこうだ!
NUS MBAが基本的に3セメスターで卒業するのに対し、MSBAでは2セメスター+インターンシップをした後に卒業となります。これはFull Timeの場合で、就業しながら学ぶPart Timeとして入学した場合は2年間かけてMSBAで学ぶことになります。
NUS MSBA 1stセメスターの授業とは
1stセメスターで開講された授業の概要を紹介します。
ここでは、今年の1stセメスターで私が受講した授業について概要をご紹介します。MSBAは2013年に開設されたばかりの比較的新しいコースなので、来年以降カリキュラムが変わる可能性はありますが、イメージを掴む役に立つと思います。
1stセメスターでは、下記5つの必須授業を受講します。
Statistics
Rというオープンソースの統計解析ソフトウェアを使って、統計モデリングを学びました。扱う手法は回帰分析、一般化線形モデル、LassoやRidge回帰、ランダムフォレスト、勾配ブースティング、K-Meansなどです。
今年はポケモンGOが流行ったこともあり(?)、中間テストではポケモンとシンガポール地理データを使った分析に取り組みました。
ANALYTICS IN MANAGERIAL ECONOMICS
ミクロ経済学および計量経済学を学びました。
ミクロ経済学の範囲としては需要と供給の概念、価格差別、ゲーム理論の基礎を扱いました。また、計量経済学の範囲としては、因果推論に使われる手法(操作変数法、差分の差分法など)を学びました。この授業でもRによるデータ分析を行います。
Analytics in Managerial Economics授業シラバス
DETERMINISTIC OPERATIONS RESEARCH MODELS
線形計画法や最大フロー問題、動的計画法といったオペレーションズリサーチで使われる手法について学びました。
工場の生産計画や物流経路を最適化する問題において、どのように問題をモデリングするか(=問題をどのように数式で表現するか)を学びました。また、ソフトウェア(AMPL)を使って、モデル化した問題の最適解を求めるプログラミングについても取り組みました。
こちらの授業においてもポケモン絡みの課題が出ました。レポート課題の1つとして「各地に存在するポケモン達を全て捕まえるためには、どの経路を辿るのが最短か?」を求める問題が出題されました。
DATA MANAGEMENT AND WAREHOUSING
SQLiteというソフトを使ってSQLの基礎を学んだり、データウェアハウスの概念(スタースキーマなど)を学びました。また、授業の一環として、シンガポールIBMのエンジニアによるデータ分析ツールに関するセミナーも受講しました。
もし既にデータウェアハウスに関する知識・経験がある場合には、この授業をスキップすることができ、その代わりに他の授業を選択することも可能です。
Capstone Project
先に述べたように、MSBAでは現地企業とのインターンシップ(Capstone Project)を行います。
1stセメスターでは、主にビジネススクールの教授によるファイナンスやマーケティング基礎についての講義を受講し、ビジネスの基礎知識を習得することになります。今後はインターン先候補の企業によるセミナー(どうアナリティクスをビジネスに活かしているか、など)が開催される予定です。
<参考>
Takaさんのブログ「データサイエンティストになるシンガポール日記」